実は、更年期障害の症状を訴える患者さまのほとんどに、重篤な『潜在性鉄欠乏性貧血』がみつかります。
1自律神経障害症状と2精神障害症状は、更年期障害の症状であると同時に、『鉄欠乏性貧血』の症状でもあります。なかには幻覚や幻聴を訴えるほどの、2の精神症状が強く出る方もいらっしゃりますが、『鉄欠乏』の症状であるのに、精神疾患(うつ病やパニック障害、統合失調症など)と診断されて抗うつ剤や向精神薬などの投与を受け、さらに悪化するケースも、残念ながらあります。
強い更年期症状を持つ患者さまのおよそ7~8割が、栄養療法による潜在性鉄欠乏性貧血の治療で、データの改善とともに症状も改善します。更年期障害の治療において、潜在性鉄欠乏性貧血の治療は、まず第一に優先すべき課題と言えます。
※ 貧血の症状があるのに、検査をしても異常が無いといわれた。というケースが、多くあります。当クリニックでは、ヘモグロビンやヘマクリットなどの一般的な検査に加えて、貯蔵鉄の検査も行いますので潜在性鉄欠乏性貧血の有無が分かります。
つまり、更年期障害は、『潜在性鉄欠乏性貧血』などの病態が起きているところに、閉経によるホルモン分泌低下という身体的なストレスが追い討ちをかけ、体が耐えられなくなり悲鳴を上状態と云えるのです。更年期障害とは、身体が発している「警告のシグナル」なのです。
更年期障害という「警告のシグナル」に、耳を傾けてみてください。そこには、必ず原因があり、原因が見つかれば解決策が見つかります。 適切な治療を行うことで、閉経後の40年と謂われる人生のさまざまな病気のリスクを低下させ、快適に過ごすことができるのです。
※ 鉄の過剰症について-鉄は過剰症の心配があるので、自己判断で鉄剤の補給を無闇に摂取することはお勧めできません。医師の診断のもとに血液検査を行った上で、ヘム鉄(有機でくるまれた安全で吸収力の高い鉄)の形で摂取するべきです。また、プルーンやプルーン加工食品などの植物性の鉄は、硬い食物繊維にくるまれた形で存在しているので、人間の体は吸収できませんので、治療には役立ちません。