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NEWS & BLOG | エッセイ「変わった医者」(3)

変わった医者(3)

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 増永氏は経絡を、東洋的な生命観にもとづく最も根本的な生体調節系統だと定義しています。
  2. 経絡は、細胞にみられる原形質流動が発達したものだ、という増永氏の仮説を紹介しています。
  3. 病名ごとにツボや漢方薬を決める病名治療は、本質的には東洋医学ではないと述べています。

「経絡というのは、東洋的な生命観に基づく最も根本的な生体調節系統である」と増永氏は定義している。

目に見える構造的な人間の体が陽ならば、目には見えないが、本質的な部分で生命活動を支えている陰の働きが経絡である。三次元的な構造(陽)が発達すればするほど、物事の本質(陰)は見えにくくなる。しかし陰が存在するからこそ陽が存在する。動物が死んでも構造(体)は残るから、構造が生命の本質ではない。生きている者のみに経絡は存在するのである。

「経絡が生命に固有のものと考えるならば、それは細胞にみられる原形質流動の発展したものと考えるのが適当だろう。細胞が分化したとき外胚葉は皮膚・神経系となって外と内とを連絡した。内胚葉の内蔵もやはり外界との適応・交流のために原形質流動を経絡系統として連絡に当てたとみるのである。この交流・適応ののぞき穴が、皮膚の感覚器のように経穴として開孔していると考えてよろしかろう。」

経絡が実際には何であるか、さまざまな議論が行われている。脈管系統なのか、神経系統なのか、云々、という議論である。しかし、氏は「経絡は生命の本質である」との考えから、アメーバなどの原始的な動物に見られる原形質流動が発達したものであるとの仮説を打ち立てている。脈管系統や神経系統は、高度に発達した動物にのみ見られる構造物であるので、経絡が生命の本質的な働きであることを考えると、単細胞動物のような原始的な動物にもその働きがなければ矛盾するからだ。

「経絡というのは、東洋的な生命観に基づく最も根本的な生体調節系統である。これに対する治療法は、局部的な経穴(反応点)を発見することではなく、全身的な異常感(虚実)を察知しなければ決定出来ない筈である。切診とはピッタリ皮膚を密着させて患者の状態を知る方法であるが、このような方法では高等な判別性感覚である触覚は働かず、生命を共感する原始感覚が優位になってくるのでる。」

経絡は全身の各部をつなぐネットワークとして流動する性質を持っている。その流れと言おうか、陰陽の配分が正しいときに、人間は健康だということができる。その流れに異常(虚実)が生じたときに、ツボという形で体表面に反応が現れてくるのである。

つまり、経絡というネットワークを持つ多面体として人体を捉え、その歪みを直すことが東洋医学の治療の本質である。指圧であろうと、鍼灸であろうと、漢方であろうと、経絡の虚実(歪み)を診断し、調整することがその目的なのだ。だから、この病気にはこのツボ、とか、この病気にはこの漢方薬、という病名治療は、形の上では東洋医学的な手法を使っていても、本質的には東洋医学とは言えないということになる。

またまたつづく

長くてすみません。。。

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最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

経絡は、2026年時点でも解剖学的な構造としては確認されていません。ツボの多くは神経の束の上にあり、正体を説明する仮説の研究が続いています。

  • 経絡は、実際の解剖学的な構造としては確かめられていないとまとめています。一方、ツボは主な神経の束の上にあり、鍼の刺激は神経の働きを変えると説明しています。出典:Zhou ほか, J Acupunct Meridian Stud 2014/PubMed 25151452・DOI 10.1016/j.jams.2014.02.007
  • 経絡の生物学的な正体は、まだはっきりしていないとしています。そのうえで、圧などに反応するイオンチャネルが基本の単位だという仮説を示しました。出典:Wang ほか, Front Med 2026/PubMed 42272664・DOI 10.3389/fmed.2026.1775475

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

経絡は、科学的に確認されていますか?
解剖で見える構造としては確認されていません。ツボと神経の関係や、新しい仮説の研究が続いています。
病名治療とは何ですか?
「この病気にはこのツボ」のように、病名だけで治療を決めるやり方です。増永氏は、全身の状態を見ずに決めるやり方を批判しています。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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