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NEWS & BLOG | 本の紹介(精神療法)

診療室にきた赤ずきん

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 精神科医・大平健さんの本「診療室にきた赤ずきん」を、2006年に紹介した記事です。
  2. 童話や昔話を手がかりに、患者が自分の本当の問題に気づいていく精神療法が描かれています。
  3. 医師が主導せず、患者自身が気づき、なるべく自力で解決していくことを要としている本です。
  4. 西洋薬や漢方薬、栄養素を使っても難しい病態の陰には、心理的な要因が多いと筆者は書いています。

久しぶりにとても面白い本でした。

精神科医を訪れる、様々な患者。

彼らの訴えはいろいろだ。

「失恋して眠れない」

「倒産して落ち込んだ」

「ケンカしてイライラする」

しかし患者は、彼らの持つ「本当の問題」を語ってはいない。

著者は、患者が持つ症状や訴えに隠された真の理由、臭い言い方をすれば「人間ドラマ」を、よく知られた童話や物語になぞらえて、絡まった紐を解いていく。

しかしそれらは、本当には患者自身がよく知っていることなのだ。

ある日、53歳の主婦が受診した。

主訴は、2年来続くめまい、耳鳴り、頭痛や吐き気。

30年前に結婚し、二人の子供に恵まれ、幸せな結婚生活。

子供も結婚して独立したある日、ふと自分が夫をうとましく思っていることに気付いた。

自分は夫に対してとりたてて不満も持っていなかったので、そう思った自分が不思議でしょうがなかったが、それから間もなくめまいなどの症状が始まった。

著者は、患者に「食わず女房」の話を読むように言う。

物語を読み、医師との対話の中で、患者は夫との関係をストーリーにあてはめ(これが不思議に符合する)、夫婦それぞれのあり方を明らかにしていく。

そして、患者は、夫の浮気癖を、仕方ないと思っていながら許すことが出来ず、お金を使わせることで愛情を盗んでいたのだと言うことに気づく。

患者の症状はそれを境にしだいに消えていった。

子供の頃に読み聞いた絵本や童話。

それらは素朴で、あまり意味のない話のように見えて、実は深遠な人間心理と言うものを恐ろしいほどに描写している。

ももたろう、赤ずきん、いっすんぼうし、などなど。

著者は、患者の心のうちを読み解いていくのに、そういった物語が実に的確に様々な人の心理を説明するのにふさわしいモデルであることに気付き、それを精神療法に生かしている。

この本を読むと、よく知っているはずの物語が意味する深遠さに驚かされるとともに、人間の心理というものの奥深さを思い知らされる。

著者は、そういった患者との対話の中から、軽いうつ程度の患者から重い統合失調症の患者まで、同じ心のしくみを持っていること、そして同じような診療アプローチが有効であることを学び、どんな重症な患者をも「気違い」と思うことはなくなったという。

また、物語などのツールを使うのであれ何であれ、医者が強制的に主導するのではなく、ある「気付き」を患者が自分自身で得ることが重要であると、著者は言う。

治療者が手柄を得るためではなく、患者が自分の「本当の問題」を発見し、それを(なるべく)自力で解決していくことが重要だからだ。

私の偏見かもしれないが、日本における精神科治療というと、「治療=薬物療法」と言うイメージなので、このように飄々と患者と向き合って治療をなさっている精神科のドクターがいらっしゃることを知って、とても感激した。

日々の治療をさせていただいていると、西洋薬、漢方薬、栄養素など、様々な治療法を使っても、難しい病態があることに気づく。そしてそれらの原因が心理的要因であることがままある。

精神科医でなくとも、患者さんの心を少しでも理解できる医者でありたいと思う。

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血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

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最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

うつ病では、精神療法と薬物療法の効果はほぼ同じで、両方を組み合わせると最も効果が高いと示されています。本を使う読書療法も、大人では長期の効果が報告されています。

  • 101の試験、11,910人を比べたネットワーク解析です。精神療法と薬物療法の効果に差はなく、併用はどちらか単独より効果が高い結果でした。出典:Cuijpers ほか, World Psychiatry 2020/PubMed 31922679・DOI 10.1002/wps.20701
  • 読書療法の長期の効果を調べたランダム化試験8件のまとめです。大人では抑うつ症状の改善が続きましたが、若い人では有意な結果は出ませんでした。出典:Gualano ほか, Clin Psychol Rev 2017/PubMed 28993103・DOI 10.1016/j.cpr.2017.09.006

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

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よく聞かれること

心の不調に、栄養療法だけで対応できますか?
いいえ。うつ病などでは、精神療法や薬物療法が標準の治療です。栄養療法は、主治医の治療と並行して行うものです。
読書療法とは何ですか?
本を読み、その内容をもとに自分の考え方や行動を見直す方法です。大人のうつ症状で、長期の効果を示す研究があります。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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