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NEWS & BLOG | 日産婦シンポジウムの連載(演題3・3)

日産婦シンポジウム 「妊娠と栄養・代謝」③ 3/3

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 母体のたんぱく質不足で妊娠子宮の血流が下がり、子の将来の高血圧につながる可能性が示されました。
  2. 母体のたんぱく質不足は、その子が妊娠したときの胎児の発育不良にもつながると示唆されました。
  3. 筆者は、妊婦は肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を毎食メインで食べるよう勧めています。
  4. 筆者は、妊婦・授乳婦のベジタリアン食は危険とし、大きい魚は水銀のため避けるよう書いています。

(前回のエントリ、日産婦シンポジウム「妊娠と栄養―妊娠中の適切な栄養管理をめざして」の演題3 、「妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム」(演者:順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生)の続きです)

以上を、簡単にまとめると

・ 母体のタン白質不足によって妊娠子宮の血流が低下する。
・ 新生児の体重に差はなくても、母体のタン白質不足は、将来子どもの高血圧を引き起こす。(可能性として動脈硬化・心筋梗塞・糖尿病などのいわゆる生活習慣病なども)そして卵巣ホルモン(エストロゲン)はそれを抑える方向に働く。
・ 母体のタン白質不足は、その子どもが妊娠した際にも胎児の発育不良を起こす。

という可能性が示唆されたということです。

これはとても重要な実験結果だと思います。

私はこの実験結果には至極納得すると同時に、とても危機感を抱いています。

何故かと言うと、これは現実に起きていることだと思うからです。

このブログでは口を酸っぱくして言っているように、ほとんどの若い女性はタン白質が不足しています。

現代人はタン白質を摂りすぎであると言われているのは、誤りです。

理由は、太ることを恐れていること(タン白質は太らないのですが、太ると誤解している人が多いのです!)や、コンビニやファストフードなど、手軽で安価な加工食品に頼る場合が多いからです。

タン白質に限らず、必要栄養所要量レベルの栄養素すら摂れていない人が多いと言われています。

そんな「隠れ栄養失調」の日本人が、特に妊娠中に、赤ちゃんのために(もちろん妊婦さん自身のためにも)手っ取り早くできること、それは「タン白質の摂取量を増やすこと」、つまり「肉や魚、卵、大豆製品、乳製品などを、なるべく沢山食べること」です。

ではどのくらいタン白質を摂ったらよいのでしょうか?

成人が毎日に必要とするタン白質の量は「体重1kgあたり1g」なので、体重50kgの人なら50gのタン白質を毎日摂らなければなりません(成長期の子どもやスポーツ選手などはもっと必要です)。

しかし、タン白質は生肉や生魚100g中に約20g含まれていますが、焼くとメイラード反応等の影響で約半分に減ってしまうため、100gのお肉を焼いて食べても、10g程度のタン白質しか取れません。

もし体重50kgの人がお肉だけを食べて1日に必要なタン白質を摂ろうと思ったら、500gのお肉を食べなければならないのです。

おにぎりにお茶、サンドイッチにサラダ、と言うような食事では、1日のタン白質の必要量を満たすことは不可能なのです。

特に妊婦・授乳婦は、胎児の発育と乳汁分泌のためにタン白質をより多く摂る必要があります。

1日あたり普段にプラスして10~12gは余分に食べるべきです。

普通に食事から食べる分には、「食べ過ぎる」と言うことはまず起こりえません。

そして、私はベジタリアン自体は決して否定はしていませんが、

妊婦・授乳婦は、絶対に

ベジタリアン食をしてはいけません。

妊婦がベジタリアン食をするのは、赤ちゃんにとっても妊婦・授乳婦さんにとっても、非常に危険なことです。

余程の知識があって、サプリメントで完全に栄養素が補えるのなら別ですが。

魚については、残留水銀の問題があるので、カジキやキンメダイなどの大きい魚は避けるべきでしょう。

ひとつの食材に偏らず、いろいろなものを組み合わせて食べるのが理想です。

私がみる限り、妊婦さんの低蛋白血症の比率は非常に高いです。(データは出していませんが…)

自分の体の分でさえ足りてないところへ来て、赤ちゃんの体を作るために自分の体のタン白質を壊してまで赤ちゃんにあげているわけですから、体は相当無理がかかっているはずです。

タン白質の予備がなければ、もし怪我をしたり出血をしたりしたら、なかなか治りにくく、出血も止まりにくくなります。

また、風邪を引きやすくなったり、湿疹などの皮膚のトラブルなどが起こる原因にもなりますし、当然むくみの原因にもなります。

また、低蛋白血症では、前置胎盤早期剥離などの異常が起こりやすくなると言われています。

このようなタン白質不足は、いいことは何一つなく悪影響を及ぼすのにも関わらず、栄養に関する意識が低い妊婦さんが多いこと、また現場の医師にも栄養の知識が足りないこと、現場が忙しすぎることなどから、見過ごされているのが現状です。

もちろん、妊娠中だけでなく、妊娠する前から、タン白質を充分に補って赤ちゃんに十分栄養を与えられる体にしておいた方が望ましいです。

タン白質は体を作る材料であり、「消耗品」ですから、必要量摂らなければ体蛋白の「異化と同化」のバランスを維持することができません。

タン白質が足りないことで、体の様々な機能に支障を来たすのは当然のことです。

くわしくはこちら

そして、知識が足りない(もしくは間違った知識に惑わされている)、または利便性と経済性を追求した結果、孫の代まで健康に悪影響を及ぼすことを、多くの人に知って欲しいと思います。

こんなことを言われると、「何を食べようと私の勝手!!」と言いたくなる方もいるでしょう。

このご時勢、妊娠出産するだけでも大変なことなのに、そんなことまで考えてやっていられない、と思われる方もいるかもしれません。

そういう気持ちも、わからないではありません。

でも、まずそういう知識をちゃんと知って欲しいこと、そしてできればできる範囲でいいですから、食事に気をつけていただきたいのです。

葉酸の話もそうですが、妊娠してからあわてて気をつけるよりは、妊娠前から栄養状態を整えておくのが理想です。

とにかく気をつけて欲しいのは、

何でもいいからとにかく心がけてタン白質を食べること

です。(本当は何でもいいわけではないですけど。。。(^_^;)

食事のときは、毎食必ずメインで肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などが、食卓に上るようにしてください。

そりゃあもうがっつり食べちゃってください。

もちろん野菜もちゃんと食べてくださいね!

お腹が空いたら、スナック菓子やケーキを食べる代わりに、ゆで卵や鳥のから揚げなどを食べるようにしたらいかがでしょうか?

体重が増えるのが気になる場合は、ごはん、パン、めん、菓子、甘い飲み物、砂糖など、炭水化物・糖質を控えることです。

お菓子を食べても、砂糖と添加物を食べてるだけで、なーんの栄養にもなりません。

妊娠中に必要なことは、体重コントロールのために「食べないように気をつけること」ではなく、「何を食べるか」なのです。

ちなみにこれは、妊婦さんだけでなく普通の女性一般に言えることですけれどね…。

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最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

妊娠中にエネルギーとたんぱく質をバランスよく補うと、小さく生まれる赤ちゃんが減ることがわかっています。一方、たんぱく質だけを多くするサプリは逆効果の報告もあり、量より組み合わせが要点です。

  • 17件の試験のコクラン・レビューでは、エネルギーとたんぱく質をバランスよく補うと、小さく生まれる児が減りました(リスク比0.79)。高たんぱくのサプリでは、小さい児がかえって増えました(リスク比1.58)。出典:Ota ほか, Cochrane Database Syst Rev 2015/PubMed 26031211・DOI 10.1002/14651858.CD000032.pub3
  • 妊娠中の完全菜食(ヴィーガン)の系統的レビューでは、たんぱく質や微量栄養素の摂取が少なく、子の出生体重が低めでした。ビタミンB12はサプリで補えていましたが、研究数が少なく結論は出ていません。出典:Meulenbroeks ほか, Nutrients 2024/PubMed 39408296・DOI 10.3390/nu16193329
  • 米国の症例対照研究では、妊娠前に炭水化物を強く制限した女性で、二分脊椎や無脳症の子が30%多くなりました(調整オッズ比1.30)。食事からの葉酸が、ほかの女性の半分未満でした。出典:Desrosiers ほか, Birth Defects Res 2018/PubMed 29368448・DOI 10.1002/bdr2.1198

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

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よく聞かれること

妊娠中は、プロテインなどのサプリでたんぱく質を増やすべきですか?
まずは食事でとるのが基本です。たんぱく質だけを多くするサプリでは、小さく生まれる赤ちゃんが増えた報告があります。使う場合は主治医と相談してください。
ベジタリアンですが、妊娠しても大丈夫ですか?
ビタミンB12・鉄・たんぱく質などが不足しないよう計画すれば、安全とする報告があります。完全菜食では出生体重が低めの報告もあるため、主治医と相談し、血液検査で不足を確かめる方法があります。
妊娠中の体重増加が気になります。糖質を抜いてもよいですか?
極端な糖質制限は勧められていません。妊娠前後の強い糖質制限で、神経管閉鎖障害が増えたという米国の報告もあります。体重の目安は妊婦健診で主治医に相談してください。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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