すっかり夏ですね!

蒸し暑くても、四季の変化のはっきりしているのは気持ちがいいです。

さて、先日、TBS系の「誰よりもママを愛す」というドラマを見ました。
(内田有紀ちゃんはやっぱり可愛いですね~)

田村正和さん扮するお父さんが「家庭を切り盛りする主夫」をする「ちょっと変わった家族」という設定のドラマのようですが、伊藤蘭さん扮する「一家の大黒柱」のお母さん以外の家族全員が、食卓を囲んで仲良く団欒しながら夕食を食べている、という場面がありました。

TVドラマを見ていると、このように「家族全員で食卓をかこむ風景」(この場合お母さんは帰宅していなかったのでいませんでしたが、家にいる家族は全員揃っていました)というのがお決まりのように出てきます。

私たちも、なんとなく、それが本来の家族のあり方であり、どの家族も同じようにしているのではないか、と漠然と思っていると思うのですが、実はこのような家族団らんの風景というのは、現代日本では

「幻想に近い」

ということをご存知でしたか?

これはNHKの番組で、子どもたちに食事の風景を絵に描いてもらうという、画期的な調査を行ったものなのですが、現代の子どもたちの「食の現実」というのをまざまざと見せ付けられます。

朝食はおろか、夕食も一人で食べる子どもたち。

親や兄弟がいても、TVを見たり、他のことに忙しくて、一緒に食べず、「ただ黙々と食べる」子どもたち。

お母さんが作ってくれないので、パンと牛乳だけ、夕食はたこ焼きやホットケーキ。もしくはカップ麺か、コンビニのお握り。

親と食べると「いろいろ言ってうるさいから」一人で食べる方がいい、という子どもたち。

朝起きられない、だるい、疲れやすい、頭痛がする、そしてイライラする子どもたち。

「子食」「孤食」「個食」

などと言われる、孤立した食事の実態と、栄養素の乏しい貧しい食事。

家族全員で食卓を囲む風景、また、理想とされる「一汁三菜」と呼ばれる献立のお宅は、非常に稀です。

家族団らんを失うということは、同時に栄養素をも失っているということです。

そんな食の世界の中で、悲しいことに、我が国日本の子どもたちの多くは、育っているのです。

そして、どうして子どもたちはそういう環境に置かれてしまうのか?という問いに対するひとつの示唆が、この本にあります。

アサツー・ディ・ケイという広告代理店のマーケティング調査の一環で、主に30代から40代前半の主婦にアンケートをとったものをまとめた本です。

現代の母親の、栄養に関する無知、食に対する比重の軽さ。

ちゃんとした食事を作る時間や経費があったら、それらを切り捨てて娯楽や教育費用に当てる。

子どもの栄養よりも、主婦の都合や体裁を優先する。

それが将来どんな結果を及ぼすかということを、深刻に考える主婦はあまりいないようです。

食事や食卓を軽視する、刹那主義的な現代主婦の感覚に、めまいを覚えます。

あまりにも、あまりにもひどいです。

一家が揃って食卓を囲んで団欒しながら食事をすること。

これはすでに「幻」と言っていいようです。

食の乱れは、栄養がきちんと摂れないというだけの問題ではなく、我々日本人の価値観そのものが大きく変わりつつあることを示しています。

栄養素の不足は子どもたちの体や精神の発達に悪影響を及ぼす、というだけでなく、一人での食事は、家族の絆や、人間関係の築き方、ひいては「人間らしさ」というものの形成に、支障を来たすのではないでしょうか。

人間をはぐくむ基本単位である「家族」が、「食」から壊れている。

そんな日本人の姿が見えるようです。

我々日本人は、一体どこへ行こうとしているのか。

「便利」というものの代償に、私たちは何を得ようとしているのか。

もう少し、単に「栄養を摂る」というだけではない「食」の意義を、見つめなおしていかなくてはいけない、と思います。

それぞれの本については、後日もう少し詳しくご紹介したいと思います。

株式会社HYGEIA