(前回のエントリの続きです)

怖ろしいことに社会的にまだそれほど自覚されてはいないが、日本人の食が崩壊し、栄養欠乏が日本人の健康を静かに蝕みはじめたのと、ほぼ時を同じくして、PMSを訴える患者が目立ってきたこと(実数が増えたかどうかは定かではない)は、ただの偶然の一致なのだろうか?

私は、非常に関係があると思っている。

全く関係がないと言い切ることのほうが、むしろ不自然だろう。

なんでも栄養に結び付けて考えてしまうのは私の悪い癖かもしれないが、栄養欠乏とPMSとは切っても切れない関係である、と私は思っている。

PMSの本態は栄養欠乏である、とまで断言するにはもう少し研究が必要ではあるが、主役に近い役割を担っているのは間違いないだろう。

では、一般的には、PMSの原因は何であると言われているのだろうか。

現在のところ考えられているPMSの原因は多岐にわたっており、一見どれもあてはまりそうだがどれも曖昧で、はっきりと“ネズミの尻尾”はつかめていない、というのが一般的な見解だ。

PMSの研究者であるアメリカのリネヤ・ハーン氏によれば、現在指摘されている原因は、以下の通りである。

① 甲状腺機能不全
② カフェインの摂りすぎ
③ 偏った食生活、とくに砂糖、ノンカロリーシュガーの摂りすぎ
④ ビタミン・ミネラルの不足
⑤ エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のアンバランス
⑥ 睡眠障害
⑦ 適切でない照明・光
⑧ カンジダ症
⑨ 運動不足
⑩ ストレス
⑪ 食物アレルギー
⑫ 寄生虫
⑬ 環境過敏症
⑭ 水銀製の歯の詰め物
⑮ 副腎皮質機能不全
⑯ ひどい肉体的虐待または性的虐待

ごらんのように、非常に多く要素が原因として考えられている。

リネヤ・ハーン氏は、PMSを「いくつものピースからなるジグソーパズル」と呼んでいる。

PMSはこれらのパズルのピースが複雑に組み合わさって作られている病態であり、しかもそのピースは人によって違うというのだ。

ということは、ピースの組み合わさり方によってPMSの症状には個人差があり、そして対処法も違ってくると言うことだ。

私としては④の「ビタミン・ミネラルの不足」を、「タン白質・ビタミン・ミネラルの複合的な欠乏」と言い換えたい。

これが、PMSを起こすもっとも基本的な素地となる部分で、それに体質やストレス、睡眠障害などの多彩な因子が加わって、症状を起こす、と考えるべきだと思う。

そして、さらに「環境ホルモン」も原因としてリストアップするべきもののひとつだろう。

次回はこれらの考えられる原因についてもう少し解説してみたい。

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