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NEWS & BLOG | PMSとは何か(3)

PMSとは何か③

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 筆者は、栄養の欠乏がPMSの主な素地だと見ています。ただし断言するには研究が要る、とも書いています。
  2. PMSの原因は一つに決まっていません。米国の研究者は16の要因を挙げ、ジグソーパズルにたとえました。
  3. 要因の組み合わせは人によって違います。そのため、症状の出方も対処法も人ごとに変わります。
  4. 筆者は「ビタミン・ミネラルの不足」を、たんぱく質を含めた複合的な欠乏と言い換えています。

(前回のエントリの続きです)

怖ろしいことに社会的にまだそれほど自覚されてはいないが、日本人の食が崩壊し、栄養欠乏が日本人の健康を静かに蝕みはじめたのと、ほぼ時を同じくして、PMSを訴える患者が目立ってきたこと(実数が増えたかどうかは定かではない)は、ただの偶然の一致なのだろうか?

私は、非常に関係があると思っている。

全く関係がないと言い切ることのほうが、むしろ不自然だろう。

なんでも栄養に結び付けて考えてしまうのは私の悪い癖かもしれないが、栄養欠乏とPMSとは切っても切れない関係である、と私は思っている。

PMSの本態は栄養欠乏である、とまで断言するにはもう少し研究が必要ではあるが、主役に近い役割を担っているのは間違いないだろう。

では、一般的には、PMSの原因は何であると言われているのだろうか。

現在のところ考えられているPMSの原因は多岐にわたっており、一見どれもあてはまりそうだがどれも曖昧で、はっきりと“ネズミの尻尾”はつかめていない、というのが一般的な見解だ。

PMSの研究者であるアメリカのリネヤ・ハーン氏によれば、現在指摘されている原因は、以下の通りである。

① 甲状腺機能不全
② カフェインの摂りすぎ
③ 偏った食生活、とくに砂糖、ノンカロリーシュガーの摂りすぎ
④ ビタミン・ミネラルの不足
⑤ エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のアンバランス
⑥ 睡眠障害
⑦ 適切でない照明・光
⑧ カンジダ症
⑨ 運動不足
⑩ ストレス
⑪ 食物アレルギー
⑫ 寄生虫
⑬ 環境過敏症
⑭ 水銀製の歯の詰め物
⑮ 副腎皮質機能不全
⑯ ひどい肉体的虐待または性的虐待

ごらんのように、非常に多く要素が原因として考えられている。

リネヤ・ハーン氏は、PMSを「いくつものピースからなるジグソーパズル」と呼んでいる。

PMSはこれらのパズルのピースが複雑に組み合わさって作られている病態であり、しかもそのピースは人によって違うというのだ。

ということは、ピースの組み合わさり方によってPMSの症状には個人差があり、そして対処法も違ってくると言うことだ。

私としては④の「ビタミン・ミネラルの不足」を、「タン白質・ビタミン・ミネラルの複合的な欠乏」と言い換えたい。

これが、PMSを起こすもっとも基本的な素地となる部分で、それに体質やストレス、睡眠障害などの多彩な因子が加わって、症状を起こす、と考えるべきだと思う。

そして、さらに「環境ホルモン」も原因としてリストアップするべきもののひとつだろう。

次回はこれらの考えられる原因についてもう少し解説してみたい。

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最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

PMSは、普通のホルモン変動に脳が強く反応する体質が中心とされています。鉄などの栄養との関連は観察研究で示されていますが、栄養欠乏が本態だという証拠はまだありません。

  • PMSの女性20人で卵巣の働きを薬で止めると、症状が減りました。女性ホルモンを戻すと再発し、PMSのない女性では気分は変わりませんでした。出典:Schmidt ほか, N Engl J Med 1998/PubMed 9435325・DOI 10.1056/NEJM199801223380401
  • 看護師を追跡した研究で、食事の非ヘム鉄が最も多い群は、PMSになるリスクが0.64倍でした。マグネシウムやナトリウムとは関連がありませんでした。出典:Chocano-Bedoya ほか, Am J Epidemiol 2013/PubMed 23444100・DOI 10.1093/aje/kws363
  • PMSの1234人と対照の2426人を比べた研究で、カフェインの量とPMSの発症に関連はみられませんでした。出典:Purdue-Smithe ほか, Am J Clin Nutr 2016/PubMed 27385613・DOI 10.3945/ajcn.115.127027

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

PMSの原因は、もうわかっていますか?
すべては解明されていません。今は、普通のホルモン変動に脳が強く反応する体質が中心とされています。睡眠やストレス、栄養状態も症状に関わります。
PMSにはどんな治療がありますか?
婦人科や心療内科では、低用量ピルやSSRI(抗うつ薬の一種)が使われます。当院の分子栄養療法は、こうした治療と並行して行うものです。詳しくは PMS(月経前症候群)・PMDDの栄養療法外来 をご覧ください。
鉄が足りないとPMSになりやすいのですか?
食事の鉄が多い人ほどPMSが少ない、という観察研究はあります。ただし、鉄を補えばPMSを防げるかは、まだ確かめられていません。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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