食べたものが顔に出る
この仕事をしていると、人の顔を見ただけで、どんな栄養素が足りないのか大体わかります。
食べているものが顔に出るんです。
これ本当。
例えば、肌色が青白かったり、黄色みを帯びて血色が悪いような人は、貧血か鉄欠乏です。
目の周りが黒ずんでいたり、口角に湿疹や炎症のある人は、亜鉛欠乏を疑います。
慢性湿疹があるような人は、亜鉛欠乏やビタミンB群欠乏を連想します。
皮膚の新陳代謝にはそういった栄養素が必要不可欠なのです。
また、見ただけで
「こりゃタンパク質が不足してるわ」
とわかる人もいます。
それは、年齢に比べてシワが目立ち、たるんでハリのない肌をしている人です。
要するに「老け顔」です。(ああ、怖い…)
老け顔だけでなく、タンパク質不足では、いろいろな肌トラブルが起こります。
くすみや肌荒れ、毛穴の開きなどももちろんそうです。
肌が薄い、というのもそうですね。
そういう人は大体ビタミンB群も不足していますから、肌の新陳代謝が非常に低下しているのです。
また、血液検査をすると、赤血球の大きさを表すMCVが異様に高値になっている人がいます。
これはビタミンB12と葉酸の不足により、赤血球に大球性の変化が起きているということを意味しますが、こういう場合毛細血管の血流が非常に悪くなってしまいます。
こういう方のお肌は、「くすみ」を通り越して「真っ黒」です。
(いわゆる「色黒」というのとは違う黒さなのです)
ビタミンB12や葉酸は、「タバコ」や「飲酒」で消費量が増加し、欠乏しやすくなります。
喫煙者やアルコール中毒者の顔色が悪いのは、こういう原因もあるのです。(胃が悪い方も欠乏に陥りやすいです)
ニキビは、原因が複雑です。
ビタミンB群不足はまず絶対ですが、ビタミンAが必要な場合もありますし、鉄欠乏が原因の場合もあります。
そして実は低血糖が原因である場合もあるのです。
なので、ニキビがたくさんある人を見ると、甘いものを食べ過ぎているんじゃないだろうか、とまず思います。
活性酸素ダメージが原因である場合も多いので、ビタミンCやEも必要です。
そしてタンパク質不足は全てに関係しています。
ニキビや虫刺され、打撲や傷のあとなどが治りにくく、なかなか消えない、というのも、タンパク質などの肌の材料不足による部分が大きいです。
肌の新陳代謝が衰えていることの表れです。
最近年のせいか、傷の跡が消えなくて…、とおっしゃる向きは、老化というより栄養素の不足を疑ったほうがよいでしょう。
若くても、お肌が荒れていたり、キレイとは言えない方がいらっしゃいますが、そういう方は普段
ろくなものを食べていない
ということを宣伝して歩いているようなものです。
要するに、お肌を作るのに必要な材料、つまりタンパク質・ビタミンB群・ビタミンC・鉄・亜鉛などの栄養素を、ちゃんと食べていないのです。
食生活はきちんと肌に表れるのです。
厚化粧をしても、流行のメイクをしても、何を食べているかはバレてしまうのです。
肌のトラブルには、必ず原因があるのです。
栄養欠乏を是正せずして、高価な化粧品をいくら使ったところで、お肌をきれいにすることはできません。
美肌のために必要なものは、肌の材料(=栄養素)である
ということを知っていただきたいと思います。
これは口からとらなくてはだめで、肌にいくら塗りつけても無意味です。
アトピーや尋常性乾癬などは、単に栄養欠乏というよりは特殊な型ですが、基本的に炎症性疾患ですから、肌の材料をきちんと入れた上で、炎症を抑える不飽和脂肪酸やビタミンA・B・C・Eなどで良くなります。
過ぎた栄養素の欠乏を治すには、食事の改善はもちろんですが、治療量の栄養素の補給、つまり栄養療法が最も効果的な方法です。