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NEWS & BLOG | PMSの患者さまの例(1)

PMSの患者様

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 40代後半の女性で、月経前の気力低下・めまい・過眠などのため休職中でした。チェック表は33点でした。
  2. 漢方薬・抗うつ剤・低用量ピルでは効果がなく、ピルでは吐き気が出たと記録されています。
  3. 3か月の栄養療法の後、チェック表は33点から5点に、具合の悪い日は月の半分から1〜2日に減りました。
  4. 治療前の収縮期血圧は70で、現在は90〜100くらいです。総蛋白の値は3か月後に下がっていました。

重度のPMSと考えられる症状で栄養療法をお受けになった患者様が、3ヶ月間の栄養療法を行って2回目の血液検査にいらっしゃいました。

患者様は、40代後半のキャリアウーマンの方です。

主訴は、月経開始日から11日~数日間の「貧血状態」(患者様の言葉です)、うつ症状、過眠傾向。

排卵後~月経前の時期になると、気力がなくなり、めまい、立ちくらみ、起きると頭の中が白くなる、起きられない、人に会いたくない、などの症状があり、引きこもりのような状態になり、受診時には仕事を休職されていらっしゃいました。

前回示したPMS/PMDDチェックリストでは、計33点の高得点(?)でした。

漢方薬数種類(加味しょう遥散など)、抗うつ剤数種類、低用量ピルなどによる治療を試しましたが、全くと言っていい程、効果がなかったそうです。
ピルでは逆に嘔気などが起き、具合が悪くなったとのことです(重症のPMSでは往々にしてそうなります)。

お困りになった患者様は、インターネットで私のクリニックをお探しになり、「最後の砦」と思って受診されたそうです。

お話を伺うと、患者様の知的レベルは高く、精神的にも安定していらっしゃり、症状の原因となるような精神・心理的な要因はないように思いました。

血液検査のデータでは、一般的な見方(基準値の中に入っていればOK)をすれば、全くと言っていい程、問題のないデータでした。

しかし、分子栄養学的に解釈すると、様々な栄養学的な問題が読み取れました。

・タン白質欠乏
・ビタミンB群欠乏
・鉄欠乏
・細胞膜障害
・胃酸分泌低下

などです。

この患者様には、データの分子栄養学的な解釈に基づき、タン白質を含めた総合的な栄養療法を施行させていただきました。

そして、3ヵ月間しっかり栄養療法をおやりになり、2回目の採血にいらした患者様は、非常に元気になられていました。
症状はほとんどなくなり、なんと毎日ランニングをしている(!)という程でした。
そして休んでいた仕事にも復帰する予定だということでした。

チェックリストでは、前回33点だったのがなんと5点に減少していました。

具合が悪かった日数も、最も調子の悪い時期には月の半分は具合が悪かったのが、栄養療法を始めたその月からほぼ1~2日/月に減少していました。

血液検査のデータでは、非常に興味深い変化が見られました。

通常の「基準値の範囲内に収まっていれば問題ない」という解釈に基づいてみればほとんど問題ないと思われるデータでも、栄養療法で適切な栄養補給を行っていくと、様々な理由で隠れていた(マスキングされていた)本来の数値が現れてきます。

この患者様の場合、治療前には強い「血液濃縮」があり、それが改善されたことがわかりました。

タン白質が不足、特に膠質浸透圧の維持に必要なアルブミンが減少すると、血管内の水分量が減少するため、血液濃縮状態になります。
この状態で総蛋白濃度を測っても、脱水時と同じで一見タン白質濃度としては高い数値が出るため、よほど低い数値でない限りタン白質不足を判断することはできません。

しかし、他の項目の数値からタン白質不足は明らかでしたので、栄養療法で補っていったところ、3ヵ月後のデータでは総蛋白濃度は逆に低下していたのです。

これは「タン白質が少ないから低下した」のではなく、タン白質の適切な摂取により血中アルブミンが上昇したため、血液中の水分量が増加し、循環血漿量が増加したことにより、総タン白濃度としては低下した、ということが考えられます。つまり、血液濃縮が改善した、と考えられるのです。

この患者様は、栄養療法前は、収縮期血圧が70という低血圧状態であったそうです。
タン白質不足で血液濃縮状態では、循環血漿量が減少していますから、低血圧になっても不思議ではありません。
また、女性に多い低血圧は、全てとは言えないと思いますが、実は「タン白質不足」が非常に深く関係しています。

「冷え性」も全く同じで、循環血漿量の減少により末梢循環が悪くなることが主な原因だと私は考えています。

そして循環血症量の増加とともに(循環血漿量が増加したこと自体を証明することはできませんが)、患者様の病状は良くなっていったと考えられるのです。
ちなみに現在の血圧は90~100くらいだそうです。

PMSがすべてこの患者様と同じような病態であるわけではありませんが、この方の場合タン白質不足が病態の大きな部分を担っていると考えられたのは、カウンセリング時に「とにかく食事でもタン白質を沢山食べるようにしてくださいね!」、という指導をさせていただいたのですが、サプリメントを飲み始める前から、食事でお肉や魚やタマゴなどタン白質をとるように心がけたところ、それだけでも体調の改善が見られたのです。

もちろんタン白質不足だけが原因なのではなく、鉄欠乏やカルシウムなどのミネラル不足もあり、血液の質も低下していましたが、それらも栄養療法によって改善が見られました。
しかし血液濃縮の改善とともにヘモグロビン値の低下も見られ、貧血があったことも明らかになりました。
これらは他に要因が無ければ、最も考えられるのは「血液の材料不足」=「栄養欠乏」が原因なので、栄養療法で引き続き適切に栄養素を補っていけば、貧血も改善し、さらに良い健康状態を得ることができると思います。

この患者様の例は他にも示唆の多いケースでしたので、次回に続きます。

この症例の治療について(2026年10月 追記)

治療の内容
血液検査の結果にもとづく、たんぱく質を含めた総合的な栄養療法(治療用サプリメントの処方と食事指導)(記事の記載)
治療の期間
約3か月で2回目の血液検査
費用(自由診療)
検査 16,500円、約3か月ごとの再検査 11,000〜16,500円と診察料 5,500円(いずれも税込・2026年の料金)。治療用サプリメントは処方の内容で変わります。記事の当時の費用とは異なります。治療中の費用は、最初の3か月で月5〜10万円が目安です。
主なリスク・副作用
まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。服用中の薬がある方は、医師にお伝えください。
標準的な治療との関係
PMSの標準的な治療は、低用量ピル・抗うつ薬(SSRI)・漢方薬などです。当院の分子栄養療法は、その代わりではなく、並行して行うものです。
結果について
この記事は一人の患者さまの記録です。同じ治療で同じ結果が出るとは限りません。

毎月のつらさ、検査で確かめてみませんか

血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

PMS(月経前症候群)について、くわしく見る

最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

PMSの試験では、偽薬でも症状がかなり軽くなります。一人の改善例から、何が効いたかを決めることはできません。

  • 47件の試験(5406人)の解析で、偽薬による改善は20.9〜38.4%に達し、2〜3か月で頭打ちになりました。出典:Yang ほか, Biopsychosoc Sci Med 2026/PubMed 42405938・DOI 10.1097/PSY.0000000000001491
  • 貧血がなくフェリチンが低い女性198人の試験で、鉄剤は偽薬より疲労を減らしました。うつや不安、生活の質には差がありませんでした。出典:Vaucher ほか, CMAJ 2012/PubMed 22777991・DOI 10.1503/cmaj.110950
  • ドロスピレノン入りの低用量ピルは、858人を含む試験のまとめで、重いPMSの症状をやや改善しました。偽薬でもはっきりした効果があり、副作用は増えました。出典:Ma ほか, Cochrane Database Syst Rev 2023/PubMed 37365881・DOI 10.1002/14651858.CD006586.pub5

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

ピルや抗うつ薬が合わなかった場合、ほかの方法はありますか?
薬の種類や飲み方を変える方法があり、婦人科で相談できます。当院の分子栄養療法は、それらと並行して行うものです。PMS(月経前症候群)・PMDDの栄養療法外来
貧血がなくても、鉄不足で疲れることはありますか?
貧血がなくフェリチンが低い女性で、鉄剤により疲労が減った試験があります。確かめるには血液検査が必要です。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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