パンダの寓話
ご無沙汰です。
今日は栄養ネタではありません。
私も産婦人科医の端くれとして、最近の悲しい周産期医療の事情については憂いています。
最近、「パンダの寓話」というのがネット上で話題らしいのです。
私は、むーみん先生のところで知りました。
むーみん先生は、中間管理職先生のところでお知りになったそうです。
先日、個人で大きな産婦人科医院をやっている先輩のところへ電話をしたら、夜10時だというのに「これからエクトピー(子宮外妊娠)のオペだ」と。。
3年間で1日くらいしか休んだことがないみたいです。
この先生ほどではないですが、私が大学病院に勤めていた時も、本当にきつかったです。
(大学勤務の産婦人科医の激務ぶりについてはBermuda先生のブログをご参照あれ)
私はそんな産婦人科医療がイヤだったのではなく(いや、正直体力的にキツイのはイヤではありましたが)、本当に自分がやりたい医療をやりたかったので、開業して栄養療法なんていう代替医療をやっている風変わりな医者であるわけですが、産婦人科医という仕事がものすごくやり甲斐のある仕事であることは間違いありません。
産婦人科医と言うのは、好きでなければ務まらないと思います。
私は妊婦さんと接するのが好きです。
お腹の中の赤ちゃんを想像すると、生命の神秘を感じざるを得ませんし、とても楽しいのです。
でも、楽しいだけではやっていけないのも産婦人科医です(医者は全部そうですが…)。
いくら好きでも、昼もなく夜もなく馬車馬のように働かなければいけないのだとすれば、そして一生懸命手を尽くしても、治療が悪い結果に終ったら逮捕されてしまうのであれば、一体誰が産婦人科医のなり手になるのでしょう?
産婦人科医が激減して、ハイリスクな患者様は診ないような状態になったら、一番困るのは患者様です。
アメリカでは、産婦人科医はインド系の方が増えているそうです。
それが悪いわけではもちろんありませんが、日本でも将来はそうなっていくのでしょうか?
「ベストな環境を望む」とまではいかなくても、もう少し労働環境を整えて、また、どうしてもある一定の割合で起こってしまう、「ベストな治療を行っても発生してしまう悲しい結末」を、損害賠償でなく国が保障する制度ができて、医療をする側も必要以上に保身に回ることなく、安心して診療に専念できるような、そんな環境があれば。。。
そんなことを望むのは、贅沢なのでしょうか…?