なかなか更新できなくてすみません。

前回花粉症の話で、粘膜を丈夫にする必要性について書きました。

花粉症と言うと、粘膜の病気としてイメージしやすいと思いますが、人体には他にもいろいろな粘膜があります。

消化管はその代表的なものですが、実は女性にとって、地味ではありますが(目には見えないので)非常に重要なのが、子宮内膜です。

子宮内膜と言うのは、ご存知の通り子宮の内張りの膜のことで、そもそも赤ちゃんのベッドになるところです。

排卵に伴うホルモンの変動により、ほぼ毎月子宮内膜はふっくらと厚くなって、赤ちゃんを迎え入れる準備をします。

妊娠しなかった場合はいらなくなるので、毎月剥がれて血液と一緒に子宮の外に出て行きます。

これが月経です。

赤ちゃんを迎える(妊娠する)ためにはふかふかした気持ちいいベッドでなくてはならないので、言うなれば毎月シーツ交換しているようなものです。

このベッド(シーツ)の状態が、実は栄養状態によって非常に左右されるのです

子宮内膜の状態が良くないと困ることはいろいろあります。

一つは、着床と言って、受精卵(赤ちゃんになる細胞)が子宮内膜にきちんとくっつくかどうか、ということ。

原因不明の不妊症の場合、子宮内膜の状態がよくないことが原因の一つとして考えられます。

そして実は毎月の月経血の量にも関係してきます。

一昔前に比べると現代女性の月経血量は30gほど増えているそうですが、それは栄養状態の悪化によるものであると言う考え方があります。

生理痛(月経困難症)や子宮内膜症などの原因とも考えることもできます。

粘膜のために大切な栄養素はいろいろありますが、鉄・ビタミンA・亜鉛・タン白質・ビタミンC・ビタミンB群などは特に大切だと考えられます。

現代人のの摂取量は昭和50年を境に激減しているのですが、鉄はコラーゲンを作るために必須であるため、鉄欠乏では子宮内膜に限らず、粘膜の萎縮や機能低下を引き起こすと考えられます。

(私のクリニックにいらっしゃる患者様で、月経のある女性のほとんどは鉄欠乏です)

また、ビタミンAも粘膜を健やかに保つために非常に重要です。

ビタミンAの不足では、ポリープができやすい(子宮・消化管などで)など、粘膜の病変が起きることが知られていますし、上皮性(粘膜など)の悪性腫瘍なども関連が深いと言われています。

また、子宮膣部異形成(子宮の前がん状態)などはビタミンAの大量投与で改善することが知られています。

亜鉛も細胞分裂に必須のミネラルであるため、皮膚や粘膜の健康には大きく関わっています。

また、コラーゲンと言えばビタミンCも非常に重要ですね。

もちろん粘膜そのものの材料としてのタン白質もとても重要です。

もちろんビタミンBビタミンEもとても大切です。

鉄にしろ亜鉛にしろ、ある栄養素が一度欠乏状態に陥ってしまうと、食事からそれらの欠乏を補うほどの栄養素を摂ることはまず不可能なので(ほうれん草108gには鉄が4mg含まれていますが、その吸収率は1.5%しかありません…)、栄養欠乏による病態を改善する「治療」と言う目的のためには栄養療法が必須と言えます。

しかしご自分でできることとして、普段の食事から気をつける簡単な方法は、

動物性タン白質をしっかり食べる

と言うことです。

簡単に言うと、「肉を食え!!」と言うわけです(笑)。

タン白質・ビタミンA・亜鉛を同時に摂るのに最も良い食材は、動物性タン白質です。(くわしくはこちら

残念ながらヴェジタリアンではこれらの欠乏状態に陥る可能性が非常に高いのです。

動物性食品は体に悪い、というイメージがおありなら、それはばっさりと捨てていただきたいと思います。

それより余程体によくないのは、お菓子や砂糖をはじめとする精製された糖質・炭水化物である、と言うことを肝に銘じていただきたいと思います。
(このブログをよく読んでくださっている皆様はもうご存知ですよね…)

株式会社HYGEIA