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NEWS & BLOG | 粘膜と子宮内膜の栄養

粘膜の問題

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 子宮内膜も粘膜の一つで、筆者はその状態が栄養によって大きく左右されると述べています。
  2. 粘膜に特に必要な栄養素として、鉄・ビタミンA・亜鉛・タン白質・ビタミンC・B群をあげています。
  3. 筆者のクリニックでは、月経のある女性の患者さまのほとんどが鉄欠乏だったと書いています。
  4. 日々の食事では、タン白質・ビタミンA・亜鉛を同時にとれる動物性タン白質をすすめていました。

なかなか更新できなくてすみません。

前回花粉症の話で、粘膜を丈夫にする必要性について書きました。

花粉症と言うと、粘膜の病気としてイメージしやすいと思いますが、人体には他にもいろいろな粘膜があります。

消化管はその代表的なものですが、実は女性にとって、地味ではありますが(目には見えないので)非常に重要なのが、子宮内膜です。

子宮内膜と言うのは、ご存知の通り子宮の内張りの膜のことで、そもそも赤ちゃんのベッドになるところです。

排卵に伴うホルモンの変動により、ほぼ毎月子宮内膜はふっくらと厚くなって、赤ちゃんを迎え入れる準備をします。

妊娠しなかった場合はいらなくなるので、毎月剥がれて血液と一緒に子宮の外に出て行きます。

これが月経です。

赤ちゃんを迎える(妊娠する)ためにはふかふかした気持ちいいベッドでなくてはならないので、言うなれば毎月シーツ交換しているようなものです。

このベッド(シーツ)の状態が、実は栄養状態によって非常に左右されるのです。

子宮内膜の状態が良くないと困ることはいろいろあります。

一つは、着床と言って、受精卵(赤ちゃんになる細胞)が子宮内膜にきちんとくっつくかどうか、ということ。

原因不明の不妊症の場合、子宮内膜の状態がよくないことが原因の一つとして考えられます。

そして実は毎月の月経血の量にも関係してきます。

生理痛(月経困難症)や子宮内膜症などの原因とも考えることもできます。

粘膜のために大切な栄養素はいろいろありますが、鉄・ビタミンA・亜鉛・タン白質・ビタミンC・ビタミンB群などは特に大切だと考えられます。

現代人の鉄の摂取量は昭和50年を境に激減しているのですが、鉄はコラーゲンを作るために必須であるため、鉄欠乏では子宮内膜に限らず、粘膜の萎縮や機能低下を引き起こすと考えられます。

(私のクリニックにいらっしゃる患者様で、月経のある女性のほとんどは鉄欠乏です)

また、ビタミンAも粘膜を健やかに保つために非常に重要です。

ビタミンAの不足では、ポリープができやすい(子宮・消化管などで)など、粘膜の病変が起きることが知られていますし、上皮性(粘膜など)の悪性腫瘍なども関連が深いと言われています。

また、子宮膣部異形成(子宮の前がん状態)などはビタミンAの大量投与で改善することが知られています。

亜鉛も細胞分裂に必須のミネラルであるため、皮膚や粘膜の健康には大きく関わっています。

また、コラーゲンと言えばビタミンCも非常に重要ですね。

もちろん粘膜そのものの材料としてのタン白質もとても重要です。

もちろんビタミンBやビタミンEもとても大切です。

鉄にしろ亜鉛にしろ、ある栄養素が一度欠乏状態に陥ってしまうと、食事からそれらの欠乏を補うほどの栄養素を摂ることはまず不可能なので(ほうれん草108gには鉄が4mg含まれていますが、その吸収率は1.5%しかありません…)、栄養欠乏による病態を改善する「治療」と言う目的のためには栄養療法が必須と言えます。

しかしご自分でできることとして、普段の食事から気をつける簡単な方法は、

「動物性タン白質をしっかり食べる」

と言うことです。

簡単に言うと、「肉を食え!!」と言うわけです(笑)。

タン白質・ビタミンA・亜鉛を同時に摂るのに最も良い食材は、動物性タン白質です。(くわしくはこちら)

残念ながらヴェジタリアンではこれらの欠乏状態に陥る可能性が非常に高いのです。

動物性食品は体に悪い、というイメージがおありなら、それはばっさりと捨てていただきたいと思います。

それより余程体によくないのは、お菓子や砂糖をはじめとする精製された糖質・炭水化物である、と言うことを肝に銘じていただきたいと思います。
(このブログをよく読んでくださっている皆様はもうご存知ですよね…)

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最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2007年の記事に追記

菜食や月経量の多さは、鉄不足と関係することが研究で確かめられています。一方、ビタミンAの仲間の薬で子宮頸部の前がん状態を治す効果は、確認されませんでした。

  • ランダム化試験をまとめた結果、レチノイド(ビタミンAの仲間の薬)は子宮頸部の異形成の進行を防げませんでした。高度異形成(CIN3)を消す効果もありませんでした。出典:Helm ほか, Cochrane 2013/PubMed 23740788・DOI 10.1002/14651858.CD003296.pub3
  • 24件の横断研究をまとめると、菜食の成人は肉を食べる人より貯蔵鉄(フェリチン)が低めでした。閉経前の女性でも同じ傾向でした。出典:Haider ほか, Crit Rev Food Sci Nutr 2018/PubMed 27880062・DOI 10.1080/10408398.2016.1259210
  • 高校生の女子の調査では、肉を食べない食事、つらいほど多い月経、鉄剤を飲んでいないことなどが、鉄不足の手がかりになりました。出典:Vinge ほか, Scand J Prim Health Care 2026/PubMed 41916414・DOI 10.1080/02813432.2026.2649329

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2007 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2007年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

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よく聞かれること

月経のある女性は鉄が不足しやすいですか?
月経で鉄を失うため、不足しやすいことがわかっています。菜食の方や月経量が多い方は、フェリチンを含めた血液検査で確かめられます。
子宮頸部の異形成はビタミンAで良くなりますか?
ビタミンAの仲間の薬で進行を防げるという結果は、試験では出ていません。婦人科での経過観察や治療を受けてください。
妊活中の食事で気をつけることはありますか?
たんぱく質や鉄を含む食事を基本に、不足は検査で確かめてから補います。詳しくは 妊活の下地づくり をご覧ください。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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