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NEWS & BLOG | 栄養コラム

進行卵巣がん患者に対するビタミンC大量療法のケースリポート

 HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 進行卵巣がん(ステージⅢC)2例で、化学療法に点滴のビタミンC大量療法と経口の抗酸化物質を併用した2003年の症例報告(カンザス大学)の紹介です。
  2. 抗酸化物質の大量投与は、標準治療の効果を高め副作用を減らすという報告が多数ある、と記事は書いています。
  3. 詳しい内容は次回、で終わっており、続編は確認できていません。

The Use of Antioxidants with First-Line Chemotherapy in Two Cases of Ovarian Cancer

人間とがんとの”戦い”は、医学が進歩し続ける現在においても、依然として終焉する気配が見られません。
(この”戦う”というスタンスに問題があると常日頃思っておりますが、これについてはまた後日)。

しかし、ここ数年アメリカで話題となっているがんの補完医療に、ビタミンCの大量投与をはじめとした栄養療法があります。

分子栄養学に基づくがん治療は「Orthomolecular oncology」と呼ばれ、がん治療において今一番ホットな、最先端の医療と言ってもよいかもしれません。

(註:正確にはこのような治療は30年以上前から行われてきたのですが、医学界からは無視されていました。そして地道な臨床経験の積み重ねにより、その有効性を無視することができなくなってきたため、NIH(アメリカの厚労省)が認めたことにより、今ようやく注目を浴びるようになった、ということです)

点滴によるビタミンCの大量投与をはじめとする抗酸化物質の摂取(栄養所要量レベルではなくいわゆる”メガドーズ”と呼ばれる量)は、がんの標準治療の効果を高め、副作用を減らし、余命の延長、QOLの改善が認められるという報告が多数認められています。

これは2003年に発表された、カンザス大学による卵巣がんの症例報告です。

卵巣がんは初期に見つけることが難しいがんで、半分以上はⅢ期かⅣ期で発見されます。

パクリタキセル+シスプラチン療法の出現など、化学療法の進歩により、進行卵巣がんの5年生存率は20%から30%に上昇しましたが、依然として良いとはいえません。

2例のステージⅢCの進行した上皮性卵巣がん患者において、化学療法の補助療法として、点滴によるビタミンCの大量療法および経口での抗酸化物質の摂取を行い、非常に良好な結果を得ています。

詳しい内容についてはまた次回。

続き①:進行卵巣がん患者に対するビタミンC大量療法の続き(2007年5月9日の記事)

前回の論文の取り急ぎ要約です。

【方法】2例の進行した上皮性卵巣がん患者

患者1 55歳 乳頭状漿液性腺がん、ステージⅢC
患者2 60歳 乳頭状漿液性腺がんおよび漿液粘液性腺がんの混合型、ステージⅢC

両患者とも、初回ののカルボプラチン/パクリタキセル化学療法(TJ療法)に先立って、最適な腫瘍減量手術を受けていた。
患者2は術後に呼吸不全など病的な状態であったため、化学療法の開始が3ヶ月遅れた。

患者1は化学療法の1ヶ月目の途中からメガドーズのビタミンC、ビタミンE、βカロテン、コエンザイムQ10を含む抗酸化物質の摂取を開始した。
経口の抗酸化剤の摂取に加え、患者1はパクリタキセルによる維持化学療法より先立って、化学療法の最後に週2回60gのビタミンCの中心静脈からの投与が開始された。

患者2は、化学療法開始前に、ビタミンC、βカロテン、ビタミンE、コエンザイムQ10を含む経口の抗酸化物質の摂取を開始した。
患者2は6周期のTJ療法を受けたが、X線検査で病変が認められたにも関わらず、その後の維持化学療法を拒否した。
その代わりに彼女は、週2回の経静脈的な60gのアスコルビン酸(ビタミンC)投与を選択した。

【結果】
患者1は初周期の化学療法の後、CA-125の正常化を認め、診断後3年半たっても正常範囲を保っている。
腹部と骨盤のCTスキャンで再発は認められていない。

患者2は初回の化学療法の後、CA-125の正常化を認めたが、骨盤にはがんの残存があったと考えられた。
しかし彼女はそれ以上の化学療法を辞退し、経静脈的なアスコルビン酸の投与を選択した。
診断から3年がたった後も、CA-125は正常のままであり、再発の兆候は認められていない。

【結論】
抗酸化物質を補助的に術後の標準的化学療法煮併用すると、化学療法の効果を高め、かつ安全性を高めると考えられる。

続き②:卵巣がんのケースリポートの続き(2007年5月16日の記事)

先日要約を載せました、2例のステージⅢCの進行した卵巣がん患者に、術後の化学療法に併用して、いわゆる「大量(メガドーズ)」と呼ばれる量の抗酸化物質(私たち分子栄養学を行う者はメガドーズとは言わず「至適量(オプティマムドーズ)」と呼びますが)の摂取と、高濃度のビタミンCの点滴投与を行った、カンザス大学によるケースリポートです。

詳しくは本文をお読みいただきたいのですが、ポイントは、

①通常、進行卵巣がんは予後不良(5年生存率:Ⅲ期37.45%、Ⅳ期25.47%)である。

②両者とも化学療法に先立って手術が行われ、optimally(最大残存腫瘍経が1cm以下)に腫瘍の摘出(腫瘍減量)術が行われた。

③両者とも化学療法(卵巣がんの標準治療であるTJ療法)に先立って経口の抗酸化物質(ビタミンA・C・E・CoQ10)の摂取をはじめた。

④症例1は6サイクルの術後化学療法の最後から週2回の高濃度(1回60g)ビタミンCの点滴による投与を開始。
その後6サイクルの維持化学療法(パクリタキセルのみ)をビタミンC点滴を併用しながら受け、その後1年間は週2回、以降は10日~2週間に1回のペースでビタミンC点滴を継続して受けている。

⑤症例2は、術後に呼吸不全など危機的な状況に陥り、ICUに入院したため、術後の化学療法の施行がが3ヶ月遅れた。
化学療法を始める前、腫瘍マーカーのCA125は術前の81から127に上昇した。
6サイクルのTJ療法を受けた後、レントゲンにて病巣の進行を認めたが、患者はそれ以上の化学療法を拒否し、その代わりに週2回の60gのビタミンCの点滴投与を選択した。
その後継続して週2回のビタミンCの点滴投与を受けている。

⑥両者とも化学療法中に、自制内の嘔気が見られたが、グレード3の毒性(副作用)は見られなかった。
症例1は初サイクルの化学療法中に手足のしびれと痛み、疲労感、呼吸速迫、下肢のむくみを認めたが、ビタミンC点滴投与中は見られなかった。
両者とも血液毒性も見られず、CSF(白血球を増やす薬)の必要はなく、腎・肝酵素の上昇も見られなかった。

⑦症例1は最初の6サイクルの化学療法の後、CA-125の正常化を認め、診断後3年半たってもCA125は正常範囲を保っている。
腹部と骨盤のCT検査では再発の証拠は認められていない。

⑧症例2は化学療法の後、CA-125は正常化した。
化学療法終了後、骨盤内にがん組織の残存と考えられる8cmの病変と後腹膜に転移と考えられる2cmの病変が認められたが、その後それ以上の病態の進展は認められず身体所見は正常で、診断から3年がたった後も、CA-125は正常範囲のままである。

カンザス大学では、このような良好な結果を得たため、現在臨床試験を行っているようです。

このように標準治療に栄養療法を併用した場合、予後の改善と副作用の軽減が見られるという報告が多く見られます。

卵巣がんの治療の大前提は、腫瘍をできるだけ取り除くこと、そして化学療法で残存したがん細胞を叩くことです。

この症例のようにOptimallyに腫瘍が切除できたのであれば予後は比較的良いのですが、問題は再発です。

目に見える腫瘍が切除できても、細胞レベルでは体内には大量にがん細胞が残存しているわけで、術後に化学療法を行うのが通常の治療です。

この場合問題となるのは副作用ですが、このケースのように栄養療法は化学療法の副作用を減弱すると言われています。

化学療法でがん細胞を叩き(Ⅲ・Ⅳ期の30~40%でCR(著効)を得られます)、栄養療法で再発を防ぐ、と言うのが卵巣がんにおいては望ましい治療かもしれません。

他の抗がん剤が効かないがんでは、化学療法を行うか否かは迷うところでしょう。

もちろん栄養療法そのものも、がんに対する治療効果が非常に期待できる分野です。

高濃度のビタミンC投与は、それ自体が選択的にがん細胞に毒性を発揮すると言われています。

卵巣以外のがんでも、栄養療法で末期がんの転移が消失したという報告もあり、効果が期待できる分野であることは間違いありません。

2007年の記事に追記

この報告は2例の記録です。その後、高濃度ビタミンC点滴が化学療法の副作用を減らしたという小さな試験がある一方、化学療法中の抗酸化サプリメントは再発を増やすおそれが指摘されています。

  • 卵巣がんの患者を対象にした試験で、標準の化学療法に高濃度ビタミンCの点滴を加えると、化学療法の副作用が減りました。効果を確かめるには、より大きな臨床試験が必要とされています。出典:Ma ほか, Sci Transl Med 2014/PubMed 24500406・DOI 10.1126/scitranslmed.3007154
  • 乳がんの化学療法を受けた1,134人の研究で、治療の前と最中に抗酸化サプリメント(ビタミンA・C・E、カロテノイド、コエンザイムQ10)を使った人は、再発の危険が1.41倍の傾向でした。著者らは、化学療法中のサプリメントには慎重であるべきだとしています。出典:Ambrosone ほか, J Clin Oncol 2020/PubMed 31855498・DOI 10.1200/JCO.19.01203
  • 高濃度ビタミンC点滴の37の研究をまとめた系統的レビューは、質の高い臨床の証拠は限られ、効果を確かめるにはよく設計された試験が必要だとしています。出典:Fritz ほか, Integr Cancer Ther 2014/PubMed 24867961・DOI 10.1177/1534735414534463

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2007 年に書かれたままです。がんの治療のご相談は、同じ建物の プレシジョンクリニック東京(腫瘍内科) でお受けしています。

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治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
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執筆・監修:矢崎 智子 医師(2007年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

研究でわかっていること

  • 卵巣がんの患者を対象にした試験で、標準の化学療法(カルボプラチン・パクリタキセル)に高濃度ビタミンCの点滴を加えると、化学療法の副作用が減りました。効果を確かめるには、より大きな臨床試験が必要とされています。(Ma ほか, Sci Transl Med 2014)

PubMed に収載された論文の抄録から、数字と結論だけを載せています。がんの治療のご相談は、同じ建物の プレシジョンクリニック東京(腫瘍内科) でお受けしています。

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