とても面白くて、一気に読みました。

ランス アームストロング, Lance Armstrong, 安次嶺 佳子
ただマイヨ・ジョーヌのためでなく

有名な方らしいのですが自転車競技のことはよく知らないので、これを読んで初めて知りました。

あまりにもドラマティックすぎてフィクションかと思うくらい、読み物としても面白い。そして感動します。

マイヨ・ジョーヌとは、世界一過酷なレースといわれるツール・ド・フランスで、ステージのトップのタイムの選手だけが着ることができる黄色いジャージのこと。

著者ランス・アームストロングは、自転車選手としてまさにこれから…、という25歳の若さで、睾丸がんの宣告を受けた。

生来攻撃的な性格の著者は、脳にまで転移したがんに対して、徹底抗戦を挑む。

そして、その結果は、彼の得たものとは…。

と映画の予告みたいになってしまいましたが、ネタバレになってもいけないので内容についてはあまり書きません。

興味深いのは、がんという病気は、肉体的なダメージだけでなく、こんなに精神力の強い人であっても、精神的なダメージを患者に与えるのだということ。

そしてそれから回復するために、本人や周りの人間はどのようにしたらいいのか、という示唆があります。

また、アメリカはやっぱり進んでいるなあ~~と思ったのは、がんの宣告を受けた時点で著者はありとあらゆる治療法について調べ始めるのですが、がんに対抗するプログラムの一環として栄養士に栄養相談を受け、がんと戦うための指標と化学療法中に食べるべき食品のリストをもらったそうです。

その中には、大量のビタミンCが化学療法の毒素と戦う助けになる、というアドヴァイスもありました。

著者が発病したのは1996年なので、そのような知識は当然あっても不思議ではないのですが、10年後の今の日本におけるがん治療の現場では、いまだにビタミンCの「ビ」の字もない…、というのが実情です。

一体この格差はどこから来るのでしょう??

むしろ患者さまのほうが、よっぽど代替医療に詳しいご時世です。

医師ももっと頭を柔軟にして、新しい方法を取り入れて欲しいと思いますし、取り入れることに抵抗があったとしても患者さまがそれを行うことを否定しないで欲しい…、と思います。

患者さまにとってはたった一つしかない、自分の命なのですから。

株式会社HYGEIA