ここ数日、患者様からお問い合わせがありました。

何でも、避妊用ピルとビタミンCを併用した患者さまに重い副作用が起きた、という内容のニュースが、ニュース番組で報道されたと言うのです。

私はそのニュースは見ていないので詳しい内容についてはよくわからないのですが、アセロラ飲料とピルを併用していた患者さまに重い副作用が起こったらしく、ニュースを見た知人によれば、そのニュースを見たほとんどの患者様がビタミンCを飲むのをやめるだろう…と言うほど、ビタミンCがまるで毒薬か何かであるかのような印象を与えかねない内容だったそうです。

また、1981年のイギリスの医学雑誌にもピルとビタミンCを併用することについての危険性を書いた論文があるそうで、それも根拠になっているそうなのです。

報道された症例についてはまったく情報がありませんし、その論文についてもまだ手に入れていないので、それらについては何とも言えません。

しかし、今まで栄養療法に携わってきて、そのような症例には私自身はあったことがありません。
栄養療法を行っている仲間からも、そのようなことがあったという話を聞いたこともありません。

もちろん私が知らないだけなのかもしれませんし、そういうことがたまたまあった、ということはあるのかもしれません。

日本のピルの普及率は低く、2003年で1.3%でした。
それに対してアメリカは15.6%、ヨーロッパではもっと高く、一番高いのはドイツで58.6%です。

世界の避妊法
全世界では1億人以上の女性がピルを飲んでいると言われています。

アメリカの人口は日本の約2倍ですから、単純計算すると日本の30倍の数の女性がアメリカではピルを飲んでいることになります。

ご存知のようにアメリカはサプリメント先進国でもあります。
ある報告では人口の半分が何らかのサプリメントを利用しているとのことです。

ビタミンCはかなりいろいろなサプリメントに配合されていますので、単純にピルを飲んでいる女性の半分がビタミンCの入ったサプリメントを飲んでいると仮定すると、日本人の15倍以上の女性がピルとビタミンCを併用していることになります。

もし本当にそのような重い副作用が起きて問題になるのなら、両者を併用することに対するなんらかの警告がアメリカではとうに出されているはずです。

もちろん、私の知る限りそのような警告は出ていません。

むしろ、ピルの服用によりビタミンCやビタミンB6・亜鉛等の微量栄養素は消費され、欠乏状態に陥ってしまうので、積極的に補うべきである、と言われているくらいです。

このようないろいろなことを考えると、私自身は件の報道に一体どれほどの確かな根拠があったのだろうか…?と、とても疑問に思ってしまうのです。

私達は、テレビやマスコミ、新聞などの情報に大きな影響を受けます。

しかし、それらが本当に「真実」を伝えているのか?、と言うと、当然違います。

多くのマスコミはスポンサーからの収入で経営が成り立っているからです。

機能性低血糖症について、テレビで取り上げられることはほとんどありません。
テレビコマーシャルのスポンサーの多くは食品会社であり、お菓子や清涼飲料水だけでなく加工食品の多くには砂糖やぶどう糖果糖液糖が使われているからです。

以前取り上げた「スーパーサイズ・ミー」という映画は、とても話題になりましたが、映画が公開され監督が来日した時、日本のテレビ局が取材をすることはなかったそうです。
あの「I’m lovin’it!」のコマーシャルが1日何回テレビで流れるか、数えてみてください。

ビタミンCの報道とは関係ないだろう…と思うかもしれませんが、日本における栄養素(特にサプリメント)に関する報道は、非常に歪曲されていると思います。

ある栄養素がある病気に効果がありそうだ、という論文が100編あっても、大々的に報道されるのは「効果がなかった」という1編の論文なのです。

私達は常に正しい情報を受け取っている、とは残念ながら言えません。

何を選択するにしても、選択を左右する情報の背景に何があるのか、意識して選択する必要があると思います。

株式会社HYGEIA