昨日たまたまTVをつけていたら「○る○る大辞典」が始まったので、なんとなく見ていたら、ビタミンCの特集だった。

この手の番組に対しては私はいつも、

「アマゾンの奥地でとれたナントカ芋」とか、「珍しいナントカから発見された超素晴らしい物質○×」みたいな非現実的な食べ物(もの珍しいけど人体(もしくは日本人)にとってあまり必要度が高くない食べ物)なんかを特集してないで、タン白質とかビタミンとかミネラルとかの基本的に人体に必要なをちゃんと摂るように啓蒙して欲しい!

と思っていたところなので、おおッ、やるじゃん!、と思ったのだが、いかんせんマス向けテレビ番組なので、曖昧な点が多すぎた。

だって、何を食べたら血中ビタミンC濃度がいくつ上がった、というデータは単位も出てないし、食事とサプリメントを比べて、もっとも血中濃度が維持されたのは食事だったから、ビタミンCは食事で摂るべきだ、と結論付けて、ジャガイモを食べよう!などと言っていたが、一体どんなサプリメントをどんな食事と比べたのかがさっぱりわからない。

そして、つまるところどれくらいビタミンCを摂ったらいいのか、というのが「100mg/1日」だというところで、ため息が出た。

厚生労働省が必要栄養処方量として1日100mgと定めている以上、明らかに反することを言うわけにも行かないだろうから仕方がないだろうけど、残念ながら「健康状態を最適に保つ」と言う意味では、栄養で病気を治そうという立場から言わせていただけば、1日100mgぽっちでは全然足りないのである。

ほかの栄養素も同様だが、必要所要量である1日100mgというのは、栄養不足による欠乏症を防ぐ「最低限必要な量」でしかない。

ビタミンCの欠乏症は、ご存知「壊血病」である。

大航海時代、多くの船乗りが皮下出血・歯肉出血を起こし、やがて死亡した。

これは長い航海の間に起きたビタミンCの欠乏によって、コラーゲンの生成が傷害され、血管壁がもろくなることによるのだが、これは一杯のレモンジュースを配ることで解決した。

というのは今では常識になっていることだけど、それを最初に指摘したのはジェイムズ・リンドという開業医で、その時の“権威筋”に無視され、その後40年の間に何万人もの船乗りが命を落とした。

以上のように、「壊血病を防ぐ」と言う目的でなら1日100mgも摂れば十分なのであるが、ビタミンCにはもっと多くの効能がある。

簡単に言えば、ビタミンCは「毒消し」だ。

活性酸素や過酸化脂質、体内異物、ウイルスなどと戦ってくれる、体内のもっとも頼もしい味方なんである。

ビタミンCの生理作用としては

(1) 抗酸化作用
(2) コラーゲンの合成
(3) ノルアドレナリンの合成
(4) カルニチンの合成
(5) 胆汁酸の合成
(6) 生体異物の代謝
(7) 還元作用(鉄・葉酸など)
(8) インターフェロンの生合成の促進
(9) 糖代謝改善
(10) メラニン生成の抑制
(11) 鉄の吸収促進
(12) ヒスタミン分泌抑制
(13) 免疫増強作用
(14) ウイルス不活性化作用(10gの経口摂取で、次のウイルスの不活化が実証されている。 ポリオウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、コクサッキーウイルス、狂犬病ウイルス)

…などなどである。

栄養療法として、「欠乏症を防ぐ」と言う目的を超えて「生体機能を高める」ためには、1日100mgぽっちでは不十分で、少なくともg単位が必要である。

ヒトはビタミンCを作る能力を失ってしまったが、ヒトと同じ体重のヤギは1日13000mgのビタミンCを体内で作る。ほかの動物も同様で、ヒトも同じくらいのビタミンCを摂取すべきであると考えられるのである。

この量をとろうと思ったら、当然食事からでは不可能なので、サプリメントが必要になってくる。

もちろん、食事を気をつけたほうがいいのは決まっている。

サプリメントもピンきりなので、質の悪いサプリメントを摂るくらいなら食事のほうがよっぽどましだ。

はっきりいって巷に流通しているサプリメントはあくまで「食品」なので、治療効果を期待することはできない。

一言でサプリメントと言ってもピン(治療用)とキリ(一般のもの)では似て非なるものなので、どんなサプリメントを番組で使ったのかTV局に聞いてみたいものである。

だから、若く健康で美しくいたい皆様は、1日1~3gはビタミンCをとりまSHOW!(信頼できるサプリメントでね!)

起こる副作用は人によって下痢が起こるくらいである。

ケニス・J. カーペンター, Kenneth J. Carpenter, 北村 二朗, 川上 倫子
壊血病とビタミンCの歴史―「権威主義」と「思いこみ」の科学史

株式会社HYGEIA