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NEWS & BLOG | 日産婦シンポジウムの連載(演題3・1)

日産婦シンポジウム 「妊娠と栄養・代謝」③ 1/3

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 演題3は、妊娠中の母体の低たんぱく栄養が、胎児の将来に及ぼす影響を調べた研究です。
  2. Barker仮説は、低出生体重児が成人後に心筋梗塞や糖尿病、高血圧になりやすいという説です。
  3. この説は、受精卵から乳児期までの環境が次世代の健康を決めるというDOHaD学説に発展しました。

日産婦シンポジウム「妊娠と栄養・代謝」の続きです。

やっと書き始めました。。。

演題3 妊娠中母体低蛋白栄養が胎児胎内プログラミングに及ぼす影響とその発現メカニズム

順天堂大学産婦人科 伊藤茂先生

私が特に同意した演題が、この演題と次の演題です。

4月26日のエントリで書きましたが、現在産婦人科を含めた医療の世界でホットな話題なのが(一過性のブームで終らないといいのですが!)、「Barker仮説」です。

「Barker仮説」とは、「胎児期に低栄養状態であることが成人期における心血管障害のリスク因子である」と言う説です。

英国の疫学者Barker氏が広範な疫学調査を行ったところ、低出生体重児(2500g未満)で生まれた児は、成人になって心筋梗塞・糖尿病・高血圧などのいわゆる「生活習慣病」と呼ばれる疾患にかかる人が多かったことから、このような仮説を発表しました。(BMJ 307;1519.1993, Lancet,1(8489):1077,1986)

動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、糖尿病などのいわゆる「生活習慣病」は、その名の通り「生活習慣」に原因があるとされています。もちろん遺伝的な原因もありますが、運動不足、カロリー過多、脂質過多、肥満、喫煙などが、これらの病気を起こすと一般的には考えられています。

しかし、このようなリスクファクターを持っていなくてもそれらの病気にかかる人も多く、その成因は不明な点が多かったのです。

そこでBarker氏は、イギリスで心臓病の多発する地域は貧しい地域が多かったことから、小児期、新生児期、はては胎児期までさかのぼって原因を追究していったところ、出生時体重が少ない(=母体が低栄養であった)児は、将来それらの疾患にかかりやすいことがわかったのです。

Barker氏の説は一見突拍子のない仮説に見えますが、この説を裏付ける研究結果が続々と発表されており、「Developmental Origins of Health and Disease (DOHaD)学説」なるものに発展しています。これは「次世代(次々世代を含む)の健康および疾患の素因は、受精卵環境、胎内環境、乳児期環境で多くが決まる」という説です。

栄養療法の実践者としては至極納得できる話ですし、しかもかなり切羽詰った問題だと思います。

というのは栄養状態が悪い若い女性が本当に多いからです。

日本人長寿神話は確実に崩壊しつつあります。

日本人の栄養に対する考え方を根本的に改めないとならない時代になっていると思います。

長いので続きは次回。

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血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

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最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

胎児期の栄養が成人後の病気に関わるというDOHaDの考え方は、その後の多くの研究で支持されています。ただし多くは観察研究で、大人になってからの生活の影響も大きく受けます。

  • 飢饉の時期に胎内にいた人のメタ解析では、成人後の2型糖尿病(相対リスク1.37)や高血圧(1.30)が多めでした。年齢や喫煙、BMIなどで調整すると、関連が消える項目もありました。出典:Hidayat ほか, Obes Rev 2020/PubMed 32048436・DOI 10.1111/obr.12981
  • 出生体重のメタ解析では、約2500g未満で、成人後の冠動脈疾患(オッズ比1.15)や脳卒中(1.28)が増えていました。約4000g超でもリスクが上がるU字型の関係でした。出典:Mohseni ほか, Curr Atheroscler Rep 2020/PubMed 32328820・DOI 10.1007/s11883-020-0829-z

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

DOHaDとは何ですか?
Developmental Origins of Health and Diseaseの略です。胎児期や乳児期の環境が、大人になってからの病気のなりやすさに関わるという考え方です。
小さく生まれた人は、将来どうすればよいですか?
リスクが少し高いという統計で、病気になると決まったものではありません。大人になってからの食事や運動、体重管理でリスクは変わります。健診で血圧や血糖を確かめておくと安心です。
妊娠中にできることはありますか?
やせすぎや栄養の偏りを避け、たんぱく質や鉄、葉酸をきちんととります。続きの回(③ 2/3)で、母体の低たんぱく栄養の実験を紹介しています。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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