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NEWS & BLOG | 分子栄養学と血液検査

血液検査の診かた

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 基準値は、母集団のおよそ95%が入る範囲です。基準値内でも「望ましい数値」とは限らないと述べています。
  2. 筆者は、基準値内のデータからもタン白質や鉄・亜鉛の不足などが読み取れると考えていました。
  3. 原因不明とされて対症療法になる背景に、血液データの読み方の違いがあると指摘しています。
  4. 栄養療法の要は、データの読み方と治療に使うサプリメントの質の二つだと筆者は述べています。

今日は分子栄養学(正確には分子整合栄養医学)の話しをします。

分子整合栄養医学に基づく栄養療法を行う際に重要なのは、血液検査です。

病院や人間ドックなどで、血液検査をお受けになったことのある方は、沢山いらっしゃると思います。

しかし、この血液データの読み方が、一般の医師と、分子栄養学を行っている医師では、かなーり違うのです。

このデータの読み方が、栄養療法のキモであると言ってもいいでしょう。

(ちなみに、もうひとつのキモは治療に使うサプリメントです。残念ながら日本で治療に耐えうる良質のサプリメントを提供している会社はごくごくわずかです)

症状があって病院にかかった時、血液検査では何の異常も見つからず、原因がわからなかった、という経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

例えば、頭痛や腹痛などいろんな症状に対し、医師は必要に応じて、検査を行います。

血液検査のみならず、超音波やレントゲン、CTやMRI、細菌検査など、現代西洋医学の検査技術は非常に素晴らしいものです。

しかし、いろいろな検査を行っても、原因が見つからない!!ということは、よくあることです。

その場合にどうするかと言うと、明らかな原因が見つからなければ生命に別状があるわけではないことが多いので、差し当たり症状をとるための治療を行います。

痛かったら痛み止め、かゆかったらかゆみ止め、眠れなかったら眠り薬、と言う具合です。

これがいわゆる「対症療法」というものです。

西洋医学による治療法には、こういった対症療法がとても多いのですが、これは西洋医学的な検査では「機能的な問題」による病態を診断するのが非常に難しい、ということによります。

機能の問題に関してはまたの機会に書きますが、血液検査でなぜ問題が見つからないのか?

それは、血液データの解釈の仕方にあります。

一般の医師は、私も分子栄養学を勉強する前はそうでしたが、血液データを見る時にその数値が「基準値の中に入っているか否か」で、正常なのか異常なのかを判断します。

しかし、この「基準値」というのがくせものなのです。

基準値とは、そのデータをとった母集団のうち、(およそ)95%の人の数値がその範囲の中に入った、という程度の意味でしかありません。

もちろん目安にはなるのですが、基準値の中に入ったからと言って、その数値が「望ましい数値」であるわけではないのです。

「基準値=正常値ではない」のです。

確かに、基準値の中に入っていれば、「病気ではない」と言えるかもしれませんが、基準値の中に入っていても、様々な分子栄養学的な問題点を見つけることができます。

タン白質不足、ビタミンB不足、鉄欠乏、亜鉛欠乏、低血糖、インスリンの過剰分泌、脂肪肝、肝機能低下、ストレスの度合い、などなど。。。

一般のどんぶり勘定的な見方ではわからない、栄養素の欠乏状態やそれに基づく代謝の異常を把握すると、患者さんの訴えてる症状の多くが当てはまるのに驚きます(自覚症状の感じ方には個人差がありますが)。

例えば、頭痛やめまい、うつなどの精神症状、月経困難症、にきび、肥満などの原因が、データから読み取れるのです。

血液データは思った以上に、体内環境を雄弁に語ってくれています。

そもそも、エネルギーの産生や体蛋白の産生、ホルモンや神経伝達物質の生成など、(後天的に)体の機能がどのように働いて生命が維持されるのかと言うことは、ほぼ体の中に入ってくる栄養素によって決められるのです。

そしてそれらの不足やアンバランスにより、様々な代謝の異常が起こり、それらがいずれ病気となって現れるずっと前から、きちんと血液データには現れてくるのです。

しかし、「基準値の中に入ってさえいればOK !」という見方をしている限り、それらを読み取ることができないので、結局「原因不明」になってしまうのです。

ということは、治療は対症療法に頼らざるを得なくなり、根治療法は難しい、と言うことになります。

残念ながら、このデータの読み方は医学部では教わらないことなのです。

まあその判断ができても保険診療では薬を出すことしかできませんから、原因からの治療(つまり栄養素を使った治療です)は難しいのですけれどね。

日本でももっとそういう考え方を持つ医師が増えてくれるといいのに、と思います。

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血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

分子栄養療法とはについて、くわしく見る

最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

基準値は「病気の判定線」と同じではない、という考え方は今も専門家の間で共有されています。一方、不足のない人へのサプリメントで病気を防げるという証拠は乏しいままです。

  • 基準範囲は、健康な人の値をもとにした目安です。病気を判定する「臨床判断値」と混同されやすい点が、今も課題とされています。出典:Ozarda, Biochem Med 2016/PubMed 26981015・DOI 10.11613/BM.2016.001
  • 米国の大規模調査で、鉄不足が体に表れ始めるフェリチン値は、子どもで約20、女性で約25 μg/Lでした。WHOの基準(子ども12、女性15 μg/L)より高い値です。出典:Mei ほか, Lancet Haematol 2021/PubMed 34329578・DOI 10.1016/S2352-3026(21)00168-X
  • 栄養素の不足がない健康な成人の研究をまとめると、ビタミンやミネラルのサプリメントに、がんや心臓病、死亡を防ぐ効果はほぼ見られませんでした。出典:O'Connor ほか, JAMA 2022/PubMed 35727272・DOI 10.1001/jama.2021.15650

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

基準値内なら健康と考えてよいですか?
基準値は健康な人の多くが入る範囲で、病気かどうかの判定線とは別のものです。フェリチンのように、より高い目安を提案する研究もあります。気になる数値は医師にご相談ください。
血液検査だけで不調の原因はわかりますか?
血液検査は手がかりの一つです。症状や生活、ほかの検査とあわせて判断します。病気が隠れていないかの確認も欠かせません。
サプリメントは誰にでも必要ですか?
不足がない人がとっても、病気の予防効果はほぼ示されていません。検査で不足を確かめてから使うのが基本です。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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