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NEWS & BLOG | 低血糖症の連載(12)

低血糖症の恐怖 12 ~低血糖症と肥満~

 HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 肥満は低血糖症の典型的な症状のひとつです。精製された糖質を摂ると血糖が急に上がり、インスリンが過剰に出て、糖が脂肪に変わります。
  2. 血糖を最も上げにくいのは脂肪、次がたんぱく質、最も上げやすく太りやすいのが精製された糖質です。
  3. 甘いものや清涼飲料をやめられないのは意志の弱さではなく、低血糖が体に糖を求めさせているためです。

低血糖症の続きです。

機能性低血糖症(以下、低血糖症)は、血糖値が低い状態が続いたり、急激に血糖値が低下するなど、常にある一定の範囲内にコントロールされているべき血糖値のコントロールがうまくいかなくなる状態です。

その結果、ホルモン分泌や自律神経のコントロールの乱れを引き起こし、様々な自律神経失調症状・精神症状などが起こります。
(初めての方は低血糖症の恐怖1よりお読みください)

今まで、低血糖症とは何か、なぜ低血糖になるのか、精製された糖質を摂りすぎると起こりうる栄養欠乏、などについて書いてきました。

イライラしやすい、キレやすい、うつ、過食、パニック障害、幻覚・幻聴などの精神症状や、冷えや不眠・動悸などの自律神経失調症状など、一見血糖値と結びつけて考えにくいいろいろな症状が、低血糖症では起こりえます。

ここまでは、「これ、あるある!」という方もいらっしゃれば、「ふう~ん、でも私にはあまり関係ないかも…」と思われている方もいらっしゃるでしょう。

しかし今日は、多くの方が気にしていらっしゃるであろう「あのこと」と、低血糖症が深く関係している、と言う話です。

そう、「あのこと」とは、ズバリ、肥満です。
(もったいぶりすぎですか?(笑))

実は低血糖症の典型的な症状のひとつと言えるのが、肥満なのです。

そして今はやり(?)のメタボリックシンドロームとも深く関係しています。

肥満とは、低血糖症の症状です。

低血糖症の方が必ずしも肥満になるとは限りませんが(異化亢進のためむしろやせていくことも多い)、肥満の人にはほとんど低血糖状態がある(もしくは、かつてあった)といっても過言ではありません。

アメリカはご存知の通り肥満大国と言われています。
人口の60%が肥満または過体重です。
日本もアメリカの後追いをして、肥満や生活習慣病が増加しています。
特に子どもの肥満や生活習慣病が増えているのは問題だと思います。

なぜこんなに肥満が増えてしまうのでしょうか?

肥満の原因には、カロリー過剰(糖質・脂肪の摂り過ぎ)、運動不足、ストレス、遺伝的な要因など、いろいろな原因が挙げられるでしょう。

しかし、その中でも主要な原因のひとつと考えられるのは、「精製された糖質の摂り過ぎ」なのです。

このブログですでにご説明しているように、糖質、特に精製された糖質(砂糖やブドウ糖果糖液糖が入った食べ物や飲み物、白米や白パン、お菓子、様々な加工食品など)を摂ると、血糖値が急速に上昇するため、インスリンの過剰分泌が起こります。

その結果、血糖値が下がってしまい、結果的に低血糖状態に陥ります。

特にそのような状態が進んで、血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、極端に血糖値が下がったり低血糖状態が長く続いたりして、いろいろな症状を引き起こす原因となっている場合、機能性低血糖症と呼ばれます。

なぜ血糖値が下がってしまうのか?

これはインスリンという、血糖値を下げるたった一つのホルモンが、多く分泌されるためです。

インスリンと聞いて思い浮かぶのは、そう、糖尿病ですね。

糖尿病とは、インスリンの分泌が低下したり、効きが悪くなることによって、血糖値を下げることができなくなり、血糖値が高いままになってしまう状態です。
その結果、網膜障害・腎障害・神経障害などの合併症が起こったり、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞などの発生率が上昇します。

広い意味では、糖尿病も低血糖症も、血糖値のコントロールがうまくいかないという点やエネルギー不足になるという点では似通っており、全く異なる病気ではありません。
糖尿病に低血糖症を合併している場合もあります。

これらの血糖の調節は、血糖値を下げる唯一のホルモン、インスリンの分泌状態に左右されます。

インスリンの働きを簡単にまとめると

・前脂肪細胞→脂肪細胞への分化促進
・脂肪細胞における中性脂肪の合成・脂肪分解の抑制
・筋肉におけるグリコーゲン(貯蓄型の糖分)の蓄積

です。

インスリンがどのようにして血糖値を下げているのかと言うと、筋肉や脂肪細胞への糖の取り込みを促進する、と言うことです。
これらは、糖を細胞内に取り込んでエネルギーとして利用するためには必須の作用です。

しかし、血中に糖が過剰に存在してインスリンが沢山分泌されてどんどん細胞内に糖が入ってきたら、どうなるでしょうか?

エネルギーとしてももちろん利用しますが、過剰になれば、もしくはうまく使われなければ、糖は使われることなく余ってしまうので、脂肪細胞では脂肪として、筋肉ではグリコーゲンとして蓄積します。

肥満を考える上で問題になるインスリンの作用はもちろん、糖から脂肪の合成が促進され、かつ脂肪の分解を抑制されることです。

つまり、インスリンが沢山分泌されていればいるほど、太りやすいのです。

体の中で最も脂肪に変わるものは糖質です。

無脂肪・高糖食により、脂肪酸合成酵素の活性は著しく上昇することがわかっています。
(ちなみに高タン白質の食事ではこのような酵素活性の上昇は見られません)

肥満の方では中性脂肪が上昇しますが、その場合一般的に問題とされるのは、食事中の脂肪の量です。
しかしながら、食事から摂る中性脂肪の量が血液中の中性脂肪値に影響するのもさることながら、むしろ過剰に摂取された糖分→脂肪への変換が持続的に促進されることのほうが、高脂血症の要因としては大きいと考えられるのです。

血糖値を最も上げにくい(インスリンを出しにくい)食材は、脂肪です。

次がタン白質、その次が糖分なのです。

つまり、最も太りやすい食材は、糖分、特に精製された糖質なのです。

太っている方の食生活を見ていると、かなりの割合で甘いもの中毒になっていることが多いです。
特に清涼飲料水の飲みっぷりはすごいものです。
コーラ(スキっと爽やかなのであまり感じませんが、実は1本に30gの砂糖が入っているということです)や缶コーヒーなどをかなり大量に飲んでいる方が多いです。
アルコールも糖分なので、同様に低血糖を起こしやすい食品です。
もちろん、お菓子やごはんが大好きでやめられない、と言う方も多いです。

精製された糖分をやめられないのは、低血糖になっているために、体が知らず知らずに糖分を求めているのです。
理屈ではなく、食べずには、飲まずにはいられないのです。
こういう人にただ食べる(飲む)のをやめろといっても、タバコと同じで中毒になってしまっていますから、なかなかやめられません。
肥満の方の減量が難しいのは、こういう点にも原因があるのです。

しかしこのようにして、

精製された糖質の過剰摂取
↓
血糖値の上昇
↓
インスリンの過剰分泌
↓
低血糖
↓
また糖質の摂取
↓
(以下繰り返し)

と続けていき、肥満が進行すると…。

その先には言わずと知れたメタボリックシンドロームがあり、そしてその行き着く先は、糖尿病、または動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病です。

この続きは「ダイエット・メタボリックシンドローム」のテーマへ続きます。

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血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

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当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2007年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

研究でわかっていること

  • 糖尿病のない肥満・過体重の男性に持続血糖測定をすると、半数が糖負荷のあとに血糖70 mg/dL未満になり、目立った症状はありませんでした。こうした人ほど間食が多く、「間食が間食を呼ぶ」悪循環が考えられています(日本の総説)。(Kishimoto, Metabolites 2023)
  • 糖尿病のない肥満の成人69人のうち19人に、食事の負荷のあとの反応性低血糖がみられ、女性に多くみられました。(Sweatt ほか, Nutrients 2026)

PubMed に収載された論文の抄録から、数字と結論だけを載せています。

あわせて読みたい

よく聞かれること

「低血糖症」は病院で診断されますか
一般の外来では血糖値を1回測るだけのことが多く、血糖の動きまでは見ません。
糖尿病で治療中でも相談できますか
できます。主治医の治療を中断するものではありません。先に主治医にご相談ください。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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