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NEWS & BLOG | 低血糖症と肥満

メタボリックシンドローム~インスリン抵抗性がなぜ起こるのか~

 HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. インスリン抵抗性を起こすのは内臓脂肪です。脂肪細胞が出す物質(TNFα など)や、肝臓に流れ込む遊離脂肪酸が原因になります。
  2. インスリンが過剰だと、脂肪細胞が大きくなるだけでなく数まで増えるため、成人でも太りやすくやせにくくなります。
  3. BMI 28 以上の方は脂肪細胞の数も増えている可能性があり、ダイエットの要はインスリン抵抗性の改善です。

引き続き、メタボリックシンドロームについてです。

長々と書きつづっている「低血糖症」と非常に深い関わりがありますので、初めての方、正しい減量方法について知りたい方、メタボリックシンドロームに興味のある方は、低血糖症の恐怖1からお読みください(長いですが…)。

前回は、肥満により「インスリン抵抗性」が起こり、さらに「インスリンの過剰分泌」が引き起こされるため、さらに肥満が進行する、ということについてお話しました。

今日は、肥満になるとなぜインスリン抵抗性が起こるのか?という話です。

肥満といっても皮下脂肪タイプと内臓脂肪タイプに分かれますが、インスリン抵抗性の原因となるのは何と言っても内臓脂肪です。

脂肪細胞の働きは、以前はただの「脂肪の貯蔵細胞」と考えられていましたが、現在ではアディポサイトカインと呼ばれる多彩な生理活性物質を産生し、糖代謝や脂質代謝に影響を及ぼしているということが分かってきました。

脂肪細胞は、TNFα、レプチン、アンジオテンシノーゲン、PAI-1、アディポネクチン、HB-EGFなどの物質を産生しますが、脂肪細胞増大ともにその産生量が増加します。

TNFαはインスリン抵抗性に関与し、レプチン、アンジオテンシノーゲンは高血圧の発症、PAI-1は血栓形成を促進し、虚血性心疾患のハイリスク状態を作り、アディポネクチン、HB-EGFは動脈硬化に関与するといわれています。

また、内臓脂肪からの静脈血は門脈系(血管の名称)を通じて肝臓に流入しますが、内蔵肥満では、中性脂肪の分解産物である遊離脂肪酸(FFA)が大量に肝臓に供給されるため、それによって高インスリン血症やインスリン抵抗性を生じることが分かっています。

このようにしてインスリン抵抗性が形作られていくのですが、インスリンが過剰になると、実はもうひとつ、いや~なことが起こります。

太りやすさや、減量の困難さを左右する因子のひとつが、「脂肪細胞の数」なのですが、成人すると脂肪細胞の数はほとんど変わらないといわれています。

ですので、通常成人になってからの肥満の多くは、脂肪が蓄積し「脂肪細胞のサイズが大きくなる」ことによって起こっているのです。

それに対し、小児期に太っていると、脂肪細胞の数自体が増えてしまうので、肥満になりやすく、やせにくい、ということになります。

つまり、小児期に肥満でなかった人は、肥満だった人に比べると、ダイエットがしやすいのです。

しかし!!

インスリンの過剰分泌が存在すると、脂肪細胞のサイズが大きくなるだけではなく、なんと

「脂肪細胞の数までもが増えてしまう」

ということがわかっています。

インスリンの作用のひとつに、「前脂肪細胞→脂肪細胞への分化促進」というのがあります。

つまり成人であっても、インスリンが過剰に分泌されていると、脂肪細胞のサイズアップだけでなく、脂肪細胞の数が増えてしまうことにより、さらに肥満が進行していくのです。

現代人の普通体重の人の脂肪細胞の直径は70~90ミクロンと言われています。

肥満時には100~110ミクロンまで肥大すると言われていますが、それ以上には肥大できないそうです。

全ての脂肪細胞に細胞の肥大が最大に起こったとすると、男性では体重の20%の脂肪組織が2.2倍になるのが限度で、それをBMI(体格指数:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))で表すと27~28くらいになるそうです。

しかし、生体がそれ以上脂肪を蓄えようとするとそれでは限界があるので、脂肪細胞の数を増やしていくのだと言うことです。

ということは、BMIが28以上と言う方は、脂肪細胞の数も増えているので、ダイエットにはさらに強い意志を持って臨んでいただかなければならない…、と言えそうです。

この場合、ダイエットのポイントはもちろん、「インスリン抵抗性の改善」です。

ちなみに、内臓脂肪に比べて皮下脂肪の蓄積は、メタボリックシンドロームになりにくいとされています。

相撲の力士は典型的な肥満体型ですが、運動量がものすごいので、内臓脂肪は意外と多くなく、検査データでも糖代謝や脂質代謝に異常が起きている例は少ないそうです。

カロリーを過剰に摂ってもそれなりの運動をしていれば内臓脂肪は蓄積しにくい、ということのようです。

力士の方の血液データも拝見してみたいものだ、と常日頃思っているのですが、興味深い事実です。

またまた続きます。

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検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2007年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

研究でわかっていること

  • 米国の若い成人3,031人を15年追うと、ファストフード店に週2回より多く通う人は、週1回未満の人より体重が4.5 kg多く増え、インスリン抵抗性の増え方は2倍でした。(Pereira ほか, Lancet 2005)

PubMed に収載された論文の抄録から、数字と結論だけを載せています。

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