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NEWS & BLOG | メタボリックシンドロームの連載

メタボリックシンドローム~太り続けるその理由(わけ)は~

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. メタボリックシンドロームは、糖尿病や心筋梗塞など、さまざまな生活習慣病のもとになる病態です。
  2. 肥満でインスリンが効きにくくなる状態を「インスリン抵抗性」と呼び、インスリンがさらに多く出ます。
  3. 記事では、インスリンが出すぎて血糖値が下がりやすくなり、空腹感や過食が起こると説明しています。
  4. 記事では、インスリンの過剰が脂肪の合成を進め、肥満が肥満を呼ぶ悪循環になると述べています。

引き続き、メタボリックシンドロームについてです。

長々と書きつづっている「低血糖症」と非常に深い関わりがありますので、初めての方、正しい減量方法について知りたい方、メタボリックシンドロームに興味のある方は、低血糖症の恐怖1からお読みください(長いですが…)。

メタボリックシンドロームは、「危険因子集積症候群」とも呼ばれ、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの様々な生活習慣病の原因となる病態です。

この病態に深く関わっているのが、「インスリン」と言うホルモンです。

このブログをごらんの皆様にはもうなじみ深くなったと思いますが、インスリンとは、膵臓のβ細胞から分泌される、血糖値を低下させるホルモンです。

血糖値を上げるホルモンは数多くあれど、下げるホルモンはインスリンのみです。

以前ご説明しましたように、主なインスリンの作用は

・ 前脂肪細胞→脂肪細胞への分化促進
・ 脂肪細胞における中性脂肪の合成・脂肪分解の抑制
・ 筋肉におけるグリコーゲン(貯蓄型の糖分)の蓄積

です(細かいことを言うともっといろいろありますが省略)。

肥満とは、摂取カロリーの過剰や運動不足による消費カロリーの低下などにより、余ったカロリーが脂肪として蓄積され、肥満細胞における脂肪の含有量が増加することにより起こります。

なかでも糖質、特に精製された糖質(砂糖・ぶどう糖果糖液糖・白米・白パンなど)を多く摂ると、血糖値の急速な上昇を招くために過剰なインスリンの分泌が起こり、脂肪細胞への糖の取り込みが促進され、肥満が進行することになります。

そもそもインスリンが沢山分泌されることにより肥満が起こりやすくなるのですが、肥満が進行することにより、さらに困ったことが起こります。

それは、肥満により、「インスリンが効きにくくなってしまう」ことです。

インスリンが効きにくくなることを「インスリン抵抗性」と言います。

インスリンが効きにくいということは、血糖値が下がりにくくなってしまうと言うことです。

そうすると、体は「インスリンが足りていない」と判断し、血糖値を下げるためにはインスリンをもっと分泌しなければいけない、ということになり、さらに大量のインスリンが分泌され、「高インスリン血症」が起こります。

そして結果的に、「インスリンの作用がさらに増強してしまうの」です。

つまり「インスリン抵抗性」は、さらなる「インスリン過剰分泌」を引き起こすわけです。

そうなると、食べ過ぎはもちろんですが、そんなに沢山食べなかったとしても、常にインスリンが出ている、それもたくさん出ている、となれば、血糖値は常に低い傾向にあることになります。

つまり「放っておくと低血糖になってしまう」状態なのです。

これはなってみないとわからないと思いますが、実際にはかなりしんどいと思います。

具体的には、太った方がこんな症状を伴っている、と言うとイメージしやすいかもしれません(自覚症状には個人差があります)。

血糖値が低いので、

「いつもお腹が空いている」
「過食になる」
「特に甘いものが食べたくて(飲みたくて)仕方ない」

エネルギー不足に陥りやすいので、

「疲れやすい」
「体力がない」
「集中力が低下する」

アドレナリンやノルアドレナリンが多く分泌されていたら、

「イライラしやすい」
「キレやすい」
「うつ傾向がある」

と言う感じです。

そしてさらに困ることのは、インスリン過剰分泌により脂肪合成が促進され、

「さらに太っていく」

のです。

簡単に言うと、「肥満が肥満を呼ぶ」わけです。

何とも怖ろしい悪循環だと思いませんか?

これがメタボリックシンドロームの本態とも言える病態なのです。

続きます。

食後の眠気やイライラ、検査で確かめてみませんか

血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

低血糖症について、くわしく見る

最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2007年の記事に追記

インスリン抵抗性が肥満や糖尿病につながることは、今も定説です。ただし「糖質でインスリンが出て太る」という単純な説は、試験では予測どおりにならず、議論が続いています。

  • 過体重の成人609人を、低脂肪食と低糖質食に分けた12か月の試験です。体重の変化は-5.3kgと-6.0kgで、差はありませんでした。ブドウ糖負荷後のインスリン分泌の多さも、食事の向き不向きの目安になりませんでした。出典:Gardner ほか, JAMA 2018/PubMed 29466592・DOI 10.1001/jama.2018.0245
  • 20人が入院し、低脂肪・高糖質食と低糖質のケトン食を2週間ずつ自由に食べた試験です。低脂肪食のほうが、摂取量は毎日689kcal少なくなりました。研究者は、糖質とインスリンの説の予測と合わないと結論しました。出典:Hall ほか, Nat Med 2021/PubMed 33479499・DOI 10.1038/s41591-020-01209-1
  • 肥満のある成人69人に、混合食の負荷試験をした研究です。19人が反応性低血糖を示しました。この人たちは、インスリンの効きがよい(感受性が高い)特徴がありました。出典:Sweatt ほか, Nutrients 2026/PubMed 41829992・DOI 10.3390/nu18050822

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2007 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2007年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

メタボの人は低血糖になりやすいのですか?
肥満のある人の一部に、食後に血糖値が下がりすぎる反応が見られます。ただし、インスリン抵抗性が原因とは限らないことが、近年の研究でわかってきました。
低糖質と低脂肪、どちらがやせますか?
1年間の比較試験では、どちらでも体重は減り、差はほとんどありませんでした。続けやすい方法を選ぶのが近道です。メディカル(医療)ダイエットでは検査をもとに食事を整えます。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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