低血糖症の続きです。

機能性低血糖症(以下、低血糖症)は、血糖値が低い状態が続いたり、急激に血糖値が低下するなど、常にある一定の範囲内にコントロールされているべき血糖値のコントロールがうまくいかなくなる状態です。

その結果、ホルモン分泌や自律神経のコントロールの乱れを引き起こし、様々な自律神経失調症状・精神症状などが起こります。
(初めての方は低血糖症の恐怖1よりお読みください)

さて、メタボリックシンドロームに話がそれていきましたが、今日は低血糖症の診断について書きたいと思います。

低血糖症は、「偉大なる物真似師」との異名をとるように、ありとあらゆる症状を引き起こします。

うつ病やパニック障害、統合失調症などの精神疾患や、自律神経失調症、頭痛や冷え性などの不定愁訴的な症状、アレルギー、PMS、過食症など、実に様々な症状や疾患に大きく関わっていると言われています。

そのような診断を受けている患者様の中には(全てではありません)、実際には低血糖症のために症状が起きているのにも関わらず、低血糖症の診断が適切に行われていないために、誤って(例えば)精神病と診断されてしまい、適切な治療が行われずにいる…、という状況が、実際には数多くあるのではないかと考えられる訳です。

そして、本当に低血糖症がそれらの症状に関与していることが考えられるのであれば、低血糖症の治療を行うことが根本的な治療のひとつに当たると言えるのです。

そこで問題になるのが、低血糖症をどのように診断するか、ということです。

糖代謝を調べる血液検査項目は多くあります。

グルコース(血糖値)
ヘモグロビンA1c
グリコアルブミン
グリコヘモグロビン
フルクトサミン
遊離脂肪酸
中性脂肪
インスリン
アミラーゼ
総コレステロール
HDL(善玉)コレステロール
カリウム
尿糖
尿中ケトン体

などなどです。

栄養療法を行う前の検査では、必ずしもこれらを全部調べるわけではなく、これ以外の数多くの項目も組み合わせて、総合的に糖代謝・脂質代謝・タン白質代謝・ビタミン・ミネラルの過不足などの評価を行います。

これらが異常値(基準値の範囲に収まっていても正常とは限らない)を示していれば、低血糖症である可能性が高いのですが、一見問題ないと考えられる数値でも実際には低血糖症である場合もあります。

そこで、低血糖症の確定診断を行うのに必要なのが、5時間の糖負荷検査なのです。

糖尿病の検査で、75gOGTTというのをおやりになったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

空腹時に75gのブドウ糖飲料を飲んでもらい、その後30分おきに2時間の採血を行い、血糖値の変化を見る検査です。

基本的にそれと同じなのですが、糖尿病の診断のためには血糖値がどの程度上昇したかだけをみればいいのですが、低血糖症の診断の場合は、血糖値が上昇した後にどの程度どのように低下したか、というのを知りたいので、5時間かけて検査を行うのです。

5時間飲まず食わずで9回採血をしますので、患者様にとっては楽な検査ではありませんし、当然保険もきかないので自費になります。

しかしこの検査が、本当に低血糖症であるか否か、またはどのようなタイプの低血糖症であるかの診断には不可欠なのです。

続きます。

株式会社HYGEIA