栄養療法の効果には、当然ながら個人差があります。

3ヵ月後の再診で、ほとんどの例で著名な改善~何らかの改善効果を認めますが、期待したほどの改善効果が得られない場合ももちろんあります。
(*病態によっては、病態改善に時間がかかるため3ヶ月では効果判定には早すぎる、という場合もあります)

その場合、考えられる理由として、栄養素の量が必要量より少なかった、または栄養素の吸収能力が低下している、などの理由が考えられますが、実は栄養療法の効果に大きく影響する要素の一つが、

タン白質が十分摂取できていたかどうか

なのです。

・ カプセルや錠剤などの粒は飲めるけれど、プロテインだけが飲めなくて余ってしまう
・ サプリメントで摂っているからいいや!と食事できちんとタン白質を食べていない

などの場合、効果が全くでないということはありませんが、期待した効果が得られない場合が多いのです。

それは何故なのでしょうか?

栄養療法の目的のひとつは、体の中を
異化=同化
の状態にするということです。

異化とは「体の組織が壊される」ことであり、
同化とは「食べたものが体の組織になる」ことです。

人間の体は活発にターンオーバー(新陳代謝)しており、常に「異化」と「同化」を繰り返しています

タン白質は必ず古くなると壊され、細胞は寿命がきたら必ず死にます。
小腸粘膜の細胞は2日、皮膚細胞は28日、赤血球は120日で寿命がきます。
つまり人間の体は、放っておいたら壊れていく、「異化」の方向に進んでいくのです。

しかし、壊れっぱなしだったら人間の体はすぐに老化して死んでしまいますが、実際には細胞が分裂することにより、細胞が死んだ分をカバーしています。
つまり「同化」です。

細胞が死んでも、その分の数や質を保って細胞が生まれ変わっていれば、老化も病気も起こりにくい、ということになります。

細胞がちゃんと新陳代謝して、望ましい状態でターンオーバーするには、当たり前の話ですが材料が必要です。

その基本的な材料は何か…、当たり前ですが、タン白質なのです。

体を木造建築に例えると、タン白質は木材そのものです。
ではビタミン・ミネラルは何か…、というと大工道具に当たります。例えば釘やトンカチ、ノミやのこぎりなどと思っていただければわかりやすいでしょう。
釘やトンカチも必要ですが、それだけあっても材木がなければ家は建たないのと同じで、ビタミン・ミネラルだけ摂れていても、タン白質が不足していてはターンオーバーがうまくいかないのです。

一般的な日本人はタン白質不足なので、

異化>同化」のパターンになっています。

「異化>同化」では老化します。
また病気になりやすくなります。

「異化=同化」の状態にすることが、病態改善、老化防止(アンチエイジング)には必要不可欠なのです

逆に言えば、ターンオーバーは「材料次第」です。

粗末な材料しかなかったら粗末な家しか建たないのと同じように、口から入ってくる栄養素が乏しければ、それなりのターンオーバーしかできないのです。

つまり、「異化=同化」の状態にし、最適な健康状態を保つために、栄養療法の効果を出すために、タン白質は必要不可欠であり、最重要ポイントである、と言っても過言ではないのです。

また、体の中でいろいろな化学反応を行っている「酵素」(血液データで見ている項目の多くを占めているのは酵素です)はタン白質でできていますから、タン白質不足では酵素活性に変化が起こりにくく、データが変わらない、要するに体内環境が改善しない、ということになります。

栄養療法をせっかくやっているのだから、やっていただいているのだから、できうる限り最大限の効果を出したい!

そのための重要ポイントがタン白質、すなわちプロテインでありアミノ酸であり、食事でのタン白質摂取です。

一番面倒くさいですし、人によっては症状のため摂りづらい…、ということも確かにあるのですが、タン白質の重要性をしっかり理解していただき、努力して摂っていただきたいと思います。

タン白質の重要性についてはこちら

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