前回は、栄養療法の効果を充分に発揮するためにはタン白質が重要なポイントである、ということについてお話しました。

プロテインがなかなか飲めない、という方は多いのですが、そこをしっかりとやっていただくかいただかないかで、結果に違いが出てくるのです。

プロテインが飲めないのは、単純に面倒だから(水や牛乳などに溶かさないといけないので)、という場合もありますが、多くの場合は「胃が張る」「気持ちが悪くなる」「ガスが出る」などの胃腸症状が出るために、飲むのが嫌になってしまうことが多いようです。

当クリニックで使用しているプロテインは、ペプタイド加工といって低分子加工しているので、市販されている普通のプロテインに比べると胃腸症状が出にくいのですが、それでも胃が張る…、という方は結構いらっしゃいます。

これらの症状は

・ 胃酸の分泌が少ないために(日本人の多くは胃酸の分泌が少ないのです)ペプシノーゲン→ペプシン(タン白質分解酵素)への変換がうまく行われず、タン白質が切断されずに大きな分子のままとどまってしまい、胃から腸へ送られにくいため、いつまでも胃が張ってしまって気持ちが悪くなる

・ タン白質がアミノ酸まで消化されずに大きな分子のまま腸へ移動すると、腸内細菌のエサになってしまうため、ガスが多く出る

などの理由によって起こります。

これらは確かに嬉しくない症状ではありますが、我慢して栄養療法を続けていただくと、徐々に良くなってきます。

胃酸を分泌する細胞をはじめとして、消化管の細胞もタン白質でできています。
消化管の平滑筋を丈夫にして消化管の動きを活発にするにもタン白質が必要です。
タン白質をはじめとした栄養素を摂取していくことで、消化機能も改善していくのです。

タン白質を一番摂っていただきたい消化機能の低下した方ほど、プロテインを飲みにくい、というのは困ったことですが、それだけ消化機能が落ちていると言うことなので、しっかりとそれを改善するつもりで飲んでいただきたいと思います。

また、一度に多くのプロテインを(と言っても普通1回10g程度のものですが)摂っていただくのがつらい場合は、

・ 小分けにして飲んでみる
・ 好きな飲み物に混ぜてみる(カフェオレ・ミルクティー・シェイクなど)
・ 料理に混ぜてみる(味噌汁・ヨーグルト・ホットケーキ・カレー・シチューなど)
・ 消化剤などを併用してみる

などの工夫をしていただいて、とにかくタン白質をしっかり摂る…、という努力をなさっていただきたいと思います。

ちなみに、日本人は胃酸の分泌が少ない人が大多数です。

なので、安易に「○スター10」などの制酸剤を飲んでも逆効果であることがありますので、胃の症状がある場合はペプシノーゲン等の検査をお受けになられた上で薬を処方してもらうことをお勧めします。

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