なぜ現代人に低血糖症が増加しているのでしょうか?
その謎を解くには、人類の食生活の歴史を振り返る必要があります。
そもそも血糖とは、脳の重要なエネルギー源なので、血糖値は90 mg/dl前後に保たれるような仕組みになっています。
血糖値が高くなればインスリンを出して血糖値を下げ、低くなればグルカゴンやアドレナリン・ノルアドレナリン、コルチゾールなどのホルモンを出して血糖値を上げ、常に血糖値を適した濃度にコントロールしているのです。
しかし、甘いお菓子やジュース、白いご飯やパンなどのGI値が高い(血糖値を上げやすい)食品を食べると、血糖値が急激に上がってしまうため、それを下げるためにインスリンという血糖値を上げるホルモンが沢山出てしまいます。
そしてその結果、血糖値が下がりすぎてしまうのです。
人類の歴史は「飢餓との闘い」と言われますが、およそ200万年前、人類の先祖は、狩りで得た「生肉」や、摘みとった「木の実」、「昆虫」などを食べていました。
これらの食品はGI値(血糖値の上りやすさ)でいえば、およそ60以下の低いものばかりです。
つまり、およそ200万年前の人類の食生活では血糖値が上がりすぎることがなかったため、インスリンを沢山分泌する必要はなかったのです。
その後、約2500年前、日本の弥生時代では、農耕が始まり米を作るようになりました。が、当時は精米技術がなく、玄米を食べていました。
玄米のGI値はおよそ56なので、それでもまだインスリンを多く分泌する必要はありませんでした。しかも1日1食でした。
GI値の高い白いご飯や白いパンを1日3回食べるようになったのは、戦後のこの100年程度です。白いご飯のGI値は84、白いパンに至っては91です。
白いご飯や白いパンを食べるたびに、すい臓が沢山インスリンを分泌しなければならなくなったのが、ついこの100年の話なのです。
その上この20年では、コンビニが全国各地に出店し、清涼飲料水や菓子パンやチョコレートなどの甘い菓子類をいつでも好きなだけ食べられるようになりました。
どこそこのスイーツが美味しいなど、1日に3回どころか、1日中甘いものを食べ続けています。