骨は、骨芽細胞による骨新生(骨をつくる)と、破骨細胞による骨破壊・吸収(骨をこわす)の作用が常に繰り返されることによって、活発に新陳代謝が行われています。
実に、全身の骨の3~5%が毎日作りかえられていると言われています。
つまり、骨新生=骨破壊であれば、骨密度は下がることはありません。
しかし骨粗鬆症では、骨新生<骨破壊になっているため、骨密度が低下します。
骨のターンオーバーが活発に行われ、骨新生>骨破壊というバランスにする必要があります。
では、骨新生>骨破壊にするには、どうしたら良いのでしょうか?
その答えは、骨の代謝メカニズムから知ることができます。
「骨を丈夫にするには、カルシウム」と短絡的に考えられていますが、残念ながらカルシウムだけ摂っても、丈夫な骨は作れません。
骨密度も、上がりません。
骨といえば、白く硬い骨を想像しますが、その土台は軟骨です。
骨細胞を分裂させて骨量を上げるためには、まず骨の端にまず軟骨が造られ、その軟骨にカルシウムが沈着して硬骨(=骨)になるというステップが必要です。
軟骨は、コラーゲンというたん白質を軸に、プロテオグリカンという糖タンパクを詰め込んで造られます。
硬骨は、これに加えてグラタンパクというたん白質の接着剤でカルシウムを塗り込めて造られます。
ということは、軟骨も硬骨も、まずはたん白質がなければ形にならないことが分かります。
コラーゲンを作るにはビタミンC、プロテオグリカンを作るにはビタミンA、グラタンパクを作るにはビタミンKが必要です。
※ ビタミンCは熱にたいへん弱いため、食品工場で生産された市販の製品は、製造の過程でビタミンCが無くなってしまい狙った効果が期待できません。GMP基準を満たした薬品工場で製造された、ビタミンCを摂取してください。
※ 骨密度の予防と治療には、治療レベルのビタミンAが必要ですが、化学薬品の場合では副作用(過剰症など)が伴いますので、やみくもに摂取することはおすすめできません。食品から造られた「天然」のビタミンAでは、副作用の心配がありません。
そして、その上でようやくカルシウムの出番とあいなるわけです。
日本人の7倍の動物性蛋白質を摂取していると言われる欧米人に比べると、日本では腰の曲がったお年寄りが多いのは、明らかにたん白質の不足が原因でしょう。
骨造りの土台は、まずたん白質、そして他の様々な「骨を作る材料」をきちんと体に入れることが重要なのです。
熟練した医師の管理下で行う栄養療法は、副作用がなく安全に、骨密度を上昇させることができます。