さまざまな毒物は、おもに肝臓が解毒した後、7割から9割は腸管から捨てられます。
そのため毒物の排泄には、肝機能と腸内環境を整えることが必要です。
善玉菌は、腸内環境が弱酸性でないと生きていくことができません。
便秘(=アルカリ性)や下痢(=強酸性)の状態では悪玉菌が増殖していますから、腸管に捨てられた毒性物質の脱抱合→腸管から毒物の再吸収となり、体外に毒物が排泄できません。
そのうえ肝臓が有害物質を解毒するには補酵素としてビタミンやミネラルをたくさん必要としますから、食事から摂取する栄養素だけでは十分とはいえないのです。
今からでも遅くはありません。
妊娠を希望されるならば、添加物やトランス脂肪酸が含まれる加工食品やファーストフードを食べるのを止める、遺伝子組み換え食品は買わない、野菜は無農薬を選ぶ、水銀の含有量が多いマグロなどの大型の魚は食べないなど、自分でできることは実行してください。
米国女性と比較して水銀蓄積量が3倍の日本女性では、妊娠前のアマルガム(歯科治療で使われる水銀が含まれる詰め物)の除去もお勧めします。
そして有機溶剤とヒ素は汗から排出できますから、毎日お風呂に入って汗をかいたり、定期的にサウナに行くのもよいでしょう。
またMTHFR遺伝子の変異やSNIPsで体内でのメチレーションが十分でないと、不育症、二分脊髄症、無脳症などの原因となる可能性が指摘されています。
メチレーションが十分でないと、ミトコンドリア内でのATP産生も低下し、ミトコンドリアの数(量)は年齢とともに加速度的に減少することが考えられ、卵子の老化が顕著になります。
また遺伝的にミトコンドリアでの電子伝達系のユニット1が欠損している方が非常に多いとされ、水素の受け渡しができませんからエネルギー産生は大きく低下してしまいます。
採卵しても卵子の質が悪かったり、採卵できても胚盤胞までいかない、流産を何度も繰り返す場合では、遺伝子検査を受けてみることもお勧めします。
このような遺伝子のSNIPsは、栄養欠損や有害物質の蓄積が大きく原因しますから、栄養療法とともに解毒治療も非常に大切です。
その他では、免疫異常、体内の炎症、グリケーション(=糖化)なども卵質に複合的に関与します。
どれも、共通して老化を大きく促進する原因でもあります。
胎児のもつ遺伝子の半分は父親由来ですから、母体にとって胎児は云わば「異物」であり、妊娠や妊娠の維持には正常な免疫バランスがあって成立します。
例えばTNFα↑・インターロイキン10↓のサイトカインの不均衡は、子宮内膜の疲弊化を招き着床の妨げとなったり流産を繰り返す原因となります。
その細胞障害性免疫の過剰は、体内の何らかの炎症で起こります。
そして体内のどこかに炎症があると、老化が加速度的に進みますから、卵子の質の低下も年齢以上に早まります。
「炎症」とは体内のあちこちで山火事が起こっているようなもので、常に活性酸素ダメージに曝されていますから、大切なビタミンやミネラルが火消し(=抗炎症)に使われてしまう上、pHは酸性に傾き、たん白合成にも悪影響をきたし、栄養が卵質の向上にまで回らないのです。
栄養はまず母体の生死に関わる臓器の修復から、優先的に消費されます。
卵巣が無くても個体は生きていけますから、卵巣への栄養補給は後回しなのです。
たとえば拒食症や無理なダイエットなどで低体重になり、月経不順どころか数年間も無月経の女性が多いですが、月経が止まっても脳や心臓、腎臓、肝臓の働きは止まることはありません。
また糖尿病に罹患している女性の妊娠率が低いのは知られていますが、グリケーションは年齢以上に卵子の質を大きく悪化させるためです。
糖化亢進による「太り過ぎ」は妊娠の妨げになりますから、適切なダイエットも大切です。
妊娠に至るには、太り過ぎていても痩せ過ぎていても、いけません。
統計では、BMI22.0前後がもっとも妊娠しやすい範囲です。