関節リウマチは難病と言われる病気の代表的なものですが、栄養療法が効果を奏する場合がとても多い病気でもあります。

今回は、関節リウマチと診断された40代前半の患者様の経過です。

主訴は、

・4ヶ月ほど前からのひざ・手首、指などの痛み
・手指の脹れ

であり、かかりつけ医より1種類の免疫調節薬を処方されていらっしゃいました。
(ステロイドも処方されましたが飲みたくないので飲んでいない、と言うことでした)

この他に、

・疲れやすい
・冷え性
・立ちくらみ
・めまい
・耳鳴り
・集中できない
・夢を多く見る
・食が細い

などの様々な症状をお持ちでした。

血液データでは、いわゆる関節リウマチの検査項目である、

・リウマチ因子
・CRP
・血沈
・MMP-3
・抗ガラクトース欠損IgG抗体

等の上昇を認め、明らかにリウマチと診断される結果でした。

栄養学的な所見としては

・貧血
・タン白質不足(総蛋白濃度が低いとは限らず、むしろ血液濃縮のため高い場合が多い)
・低アルブミン・A/G(アルブミン/グロブリン)比の低下
・ビタミンB群欠乏
・鉄欠乏
・亜鉛欠乏
・低コレステロール

などの問題が見られました。

リウマチに限らず、膠原病全般やその他の慢性炎症性疾患には共通した栄養失調のパターンがあるのですが、それほど程度は強くないものの、その典型的なパターンを示すものでした。

この患者様に、血液検査のデータに基づいて、タン白質・アミノ酸・ビタミンB・C・E・ヘム鉄・亜鉛・カルシウム・マグネシウム・コンドロイチン等の栄養素の補給(かなり多い量です)を3ヶ月行っていただきました。

そして先日、2回目の採血の結果のカウンセリングにいらっしゃったのですが、かなり自覚症状が改善したと報告してくださいました。

・痛みは初診時の痛みの程度が10だとすると、2から3くらいに軽減した
・疲れにくくなった
・立ちくらみ・めまい、耳鳴りなどがなくなった
・冷え性が改善してきた
・むくみにくくなった
・もろかった爪が丈夫になってきた
・傷の治りが速くなった

などなど、多くの症状において改善が見られました。

データ上も、

・炎症所見の改善
・貧血の改善
・アルブミンの上昇
・貯蔵鉄の上昇
・コレステロールの上昇

など、素晴らしく栄養状態が改善していらっしゃいました。

まだ薬を飲んでいらっしゃいますが、さらに症状が改善すれば必要なくなると思われます。

リウマチの原因は不明とされていますが、その背景には間違いなく栄養失調があります。

分子栄養学的な視点から見ると、もともと栄養失調が存在し、免疫力や自己治癒力の低下が起きているところに、なんらかの異常な免疫を誘発するような条件(細菌やウイルスの感染など)が重なることにより、自己免疫が誘発されると考えられます。
もちろん、遺伝的な素因やストレスなど、様々な要因が存在するでしょう。
しかし、このように栄養素の補給を行っていくことで、血液データの改善とともに、症状が改善していくのです。

また、痛みがよくなるだけでなく、他のいわゆる不定愁訴と呼ばれる自覚症状も、ついでによくなってしまうのが栄養療法の素晴らしい点です。
不定愁訴の多くは栄養失調の症状ですから、治そうと思わなくても一緒に治ってしまうわけです。

これはどんなご病気の方でも同じで、治したい病気の他にいろいろな症状までもがよくなっていったり、お肌もきれいになったり、ダイエット効果もあったりしてしまう(!)のです(ホントですよ)。

私の経験では、リウマチの方は最初の3ヶ月で痛みの程度は平均すると10から5くらいに軽減する方が多いです。
とてもよく効く方は、この患者様のように2~3まで軽減する方もいます。
もちろんもっと時間がかかる方も多いですし、炎症の程度が強い方はなかなか改善しにくい場合もあります。

1回よくなっても体調によって波もあります。
この患者様は、まだ発症して日が浅く、栄養失調の程度がそれほど重症化してはいなかったので、改善の経過が早かったのだと考えられます。

もちろん完全によくなるまでにはもう少し時間がかかりますので、量を調節して栄養療法を継続していただくことになりました。

痛みに煩わされることなく、充実したHappyライフを送られることを願っております。

株式会社HYGEIA