ご無沙汰しております。

本格的に寒くなってきましたね。

今日はビタミンDの続きです。

前回も書きましたように、ビタミンDは実に様々な働きをしています。

英語ではよくビタミンDは

immune-booster(免疫を高めるもの)
immune-modulator(免疫を調節するもの)

などと表現されています。

免疫の働きで重要なことのひとつは、細菌やウイルスなどの感染を防ぐことです。

ビタミンDは200種類以上の遺伝子に作用することがわかっていますが、その内の重要なひとつがantimicrobialpeptide(AMP)の一種である「cathelicidin」という物質を増加させる遺伝子です。

cathelicidinはかなり広範囲の病原体に効く「天然の抗生物質」と呼ばれています。

例えば、冬になると風邪を引いたりインフルエンザにかかる人が増えますが、ビタミンDの摂取によりその増加を抑えることができます。

3年間にわたる研究では、冬季に風邪またはインフルエンザの症状を訴えた人は、プラセボ(偽薬)群では104人中30人でしたが、ビタミンDを(たったの)800IU摂取した群では104人中9人でした。これは春~秋の確率とほぼ同程度でした。

Aloia JF et al, Epidemic influenza and vitaminD. Epidemiol Infect 2007;135:1095-6

冬になると風邪を引くのは、単に寒いからだけではなく、日に当たる機会が減るためにビタミンDが不足することが原因のひとつと言えるわけです。

緯度の高い地域に多発性硬化症が多いのも、ビタミンD欠乏が原因のひとつといわれています。

実はうつなどもそうで、寒くて暗い冬は陰鬱な気分になりがちですが、ビタミンDが不足することも原因のひとつになっているようです(日照時間が減るためにセロトニンが低下することもあるでしょう)。

南の温かい国の人たちが陽気なのは、ビタミンDが十分足りているせいもあるのかもしれません。

話がそれましたが、ビタミンDには感染を防ぐ効果があるため、その不足は易感染性を引き起こします。

鳥インフルエンザのパンデミックがそろそろ危ない…、とここしばらく言われていますが、そのひとつの対策として、ビタミンDの血中濃度をしっかり高めておくことが有効であると言えるでしょう。

しかし、微生物の感染が関係する病気とは、風邪やインフルエンザ、肝炎などの、いわゆるわかりやすい「感染症」だけではありません。

関節リウマチなどの自己免疫疾患や慢性疲労症候群、月経前症候群、果ては一部の精神疾患なども、何らかの感染(潜伏しているもの)が関与している場合があるのです。

ということは、ビタミンDの血中濃度を十分高めておくことで、非常に広範囲の疾患をある程度予防する効果が期待できると考えられます。

続きます。

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