タン白質が重要だということはわかったとしても、ではどのくらい摂ったらいいのか、という話になってくる。

タン白質の必要摂取量は、世界的にもほぼコンセンサスが得られているが、蛋白質研究奨励会(大阪大学)の計算式はこうである。

成人のタン白質所要量

0.64× 100/80 × 1.1 × 1.3 ≒ 1.14 (g/kg)

詳しくは省略するが、要するに、成人は体重1kgあたり約1gのタン白質を、毎日(タン白質は食いだめが出来ないので)摂取する必要があるということだ。

もちろんこれは普通の人の場合で、成長期の子供や妊婦・授乳婦、スポーツ選手などは2~3g/kg/日が必要だといわれている。

これが実は、摂っているようで摂れていないのである。

例えば、今日はお肉を100g食べたからタン白質100g摂っちゃったわ!と思っている人がいるかいないかはわからないが、もちろんこれでは摂れてはいない。

五訂日本食品成分表によると、豚肉の「大型種肉、かた、赤肉、生」では可食部100g中タン白質含有量は20.9gである。ほかのお肉や魚も大体同じような感じで、100g中にタン白質は約20g前後だ。

でも、これは生(なま)の場合。

火を通すと、メイラード反応等の影響でアミノ酸が破壊されるために、実質的に利用できるタン白質としては半分に減ってしまうと言われている。

ということは、体重50kgの人が、豚肉を食べることで必要なタン白質を摂ろうと思ったら、毎日500gの豚肉を食べなければ摂れないことになる。

・・・これってなかなかできることではない。

もちろん、お肉だけではなくて、魚、豆製品、乳製品などで満遍なく摂っていくことが必要だが、実際に必要なタン白質をきちんと摂ろうと思うと、意外と難しいということがわかっていただけると思う。

蛋白質研究奨励会
タンパク質ものがたり―私たちの生命を支えるもの

株式会社HYGEIA