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NEWS & BLOG | 肉体改造編(5)

私の場合~肉体改造編⑤~タン白質と冷え性の関係

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 肉体改造中の頭痛やのどの渇きは、総タン白濃度の上昇による「脳の脱水状態」だと筆者は推測しています。
  2. 普通に食事からタン白質をとる限りこうした事態はまず起こらず、不足している人のほうが多い立場です。
  3. タン白質不足で循環血漿量が減ると血行が悪くなり、冷え症の「主犯格」になると筆者は見ています。
  4. TPは血液濃縮の影響を受けるため、TPだけではタン白質不足を判断できないと注意しています。

前回のタン白質濃度の話の続きです。

肉体改造挑戦中に出現した、「頭重感・ボーっとした感じ・頭痛・異様なのどの渇き」などの症状が、総タン白質濃度の上昇による膠質浸透圧の上昇に基づいたものである、というのが前回までの考察です。

確か、某ロック歌手の方の健康に関する本にも、ジムでガンガンプロテインを飲んで肉体改造をしていたときに、頭痛や頭がボーっとすることがあったと書いてありました。

その方は、それが「タン白質の毒性によるもの」であり、「だからタン白質はあまり摂るべきではない」、と結論付けていらっしゃったのですが、私はその説には反対です。

データおよび実体験から、このような症状はあくまでも膠質浸透圧の上昇による「脳の脱水状態」が原因だと、私は推測しています。

それに、ヒトの体を構成する要素であるタン白質が「毒性を持つ」というのは、生化学的に考えて、ありえない話だからです。

ですから、今までの話を読んで、「じゃあやっぱりタン白質って摂り過ぎないほうがいいのね!」と思った方がもしいらっしゃったとしたら、それは私の言わんとしていたことではありません。

今回の私の例は特殊なケースで(過激にやりすぎました!)、普通に食事からタン白質を摂っている限りでは、このような事態はまず起こり得ません。

それどころか、このブログでは口を酸っぱくして言っていますが、一般的には、タン白質が不足(もしくは欠乏)している人の方が圧倒的に多いのです。

私の見た限りでは、私自身もそうでしたが、現代の日本人の多くは、タン白質不足のために血液濃縮が起こっています。

これは血液検査でわかりますが、一般的な医療現場ではそういう視点がありませんから、指摘されることはほとんどありません。

話は肉体改造からずれてしまいますが、このタン白質不足と膠質浸透圧、そして循環血漿量の問題と言うのは、実は女性のQOLと深く関わっているのです(女性だけとも限りませんが…)。

血液濃縮≒循環血症量の減少(血液の量volumeが少ない)があると、どんな症状が起こるでしょうか?

先にも書きましたが、むくみの原因になりますし、低血圧や立ちくらみなどが起こりやすくなる可能性があります。

それに、多くの女性が悩んでいる「冷え症」。

冷え症とは、血行不良です。

血液の量が少なくなっていたら、血管の容積はほぼ一定ですから、当然血行は悪くなります。

同じ太さのホースに、水をちょっとだけ流すのと、たくさん流すのとでは、流れる勢いが違いますよね?

つまり、タン白質不足による血液濃縮=循環血漿量の減少は、血行不良を引き起こし、「冷え」という症状を引き起こす、と考えられるわけです。

私は、冷え症の原因としてこれはかなり「主犯格」だと思っています。

もちろんこれ以外にも、貧血・ビタミンB不足・E不足・鉄不足・筋肉不足・基礎代謝の低下・冷えやすい体質・体を冷やす環境など、いろいろな原因が複合的に存在して冷え症が起きていると考えられますが、上記の機序を考えると、ビタミンE(だけ)を摂ったり半身浴をしたりという一般的な冷え症対策は、やった方がいいのは確かだと思いますが、根本的な解決とは言いがたい、と私は思っています。

漢方治療はどうかというと、証に合っていれば有効だと思いますが、そのような症例ではほとんどタン白欠乏があると思われますから、タン白欠乏を是正することも同時に必要なことで、そこを是正しないで漢方だけやっても完治は難しいのではないかと思います。

私自身もそうだったのですが、実際に栄養療法で蛋白欠乏を是正していくと(もちろんタン白質以外のほかの栄養素も補っていくのですが)、それだけで冷え症はほとんど良くなってしまうのです。

循環血漿量が減少していることを、現実に血液の量を計って証明することはもちろんできません。

しかし面白いことに栄養療法を行っていると、血液データ上、治療前にあった血液濃縮が治療後に改善していることを示す変化が見られます。

(ちなみにTPは血液濃縮の影響を受けるので、それのみではタン白質不足の判断をすることはできません)

こんなことは医学書には載っていませんが、栄養療法を行っていると頻繁に遭遇します。

冷え症を治すために栄養療法をやっているわけではなく、「ついでに」治ってしまうのですけれどね。

というわけで、冷え症に栄養療法はとても有効ですが、もちろん食事できちんとタン白質を摂ることがとても大事です。

詳しくは過去ログ「お肉を食べよう!~タン白質の重要性~」をお読みください。

もちろん理想を言えば、複合的な治療レベルでの栄養補給(=栄養療法)を行ったほうが、治療効果は高いです。

肉体改造小咄、まだまだ続きます。

あなたのからだの「足りない」、検査で確かめてみませんか

血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

分子栄養療法とはについて、くわしく見る

最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

2026年時点の研究では、健康な人が高タン白の食事をとっても、腎機能に悪い影響は見られていません。冷え症は女性ややせ型の人に多いことがわかっていますが、タン白質不足が主な原因かどうかは確かめられていません。

  • 健康な成人の28件の試験、1358人をまとめた解析では、高タン白食でも腎臓のろ過機能(GFR)の変化に差はありませんでした。出典:Devries ほか, J Nutr 2018/PubMed 30383278・DOI 10.1093/jn/nxy197
  • 韓国の成人2,201人の調査では、手と足の冷えは17.9%に見られ、女性に多く、BMIが低い人ほど強い傾向でした。冷えのある人は生活の質が低い結果でした。出典:Bae ほか, Evid Based Complement Alternat Med 2019/PubMed 31118964・DOI 10.1155/2019/6217036

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

冷え症は栄養で良くなりますか?
冷えには貧血、筋肉量、甲状腺の病気など、いろいろな原因があります。まず原因を調べます。当院では血液検査で栄養状態を確かめ、必要に応じて内科の治療と並行して栄養療法を行います。
タン白質をとりすぎると、腎臓に悪いですか?
健康な人では、高タン白食で腎機能が悪くなるという結果は出ていません。腎臓の病気がある方は、主治医の指示を優先してください。
血液検査のTP(総蛋白)で、タン白質不足がわかりますか?
TPは脱水などの影響も受けるため、それだけでは判断できません。いくつかの項目を組み合わせてみます。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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