この週末に行われました、日本産科婦人科学会のシンポジウム「妊娠と栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理をめざして―」の内容です。

まず参加者に配られた資料より、シンポジウムの背景と目的を抜粋します。

シンポジウムの背景

1.胎児の発育、機能分化のための基質は全て母体の食事に依存している。

2.これらの基質が適切な時期に、適切な量供給されないときには、IUGR(子宮内胎児発育遅延)や巨大児となるだけでなく、神経管欠損など様々な異常をきたす。

3.近年の疫学的研究により、胎生期に栄養障害に曝された児は成長後に、肥満、耐糖能異常、高血圧、心血管障害など生活習慣病(いわゆるBarker仮説)の他、統合失調症や性格障害など精神神経系の発達にも影響することが報告されている。

4.一方、近年のわが国の若年女性は、過度のダイエットや偏食によるやせが増加しており、また一部では高脂肪食と運動不足による肥満も増加している。

5.これらのやせや肥満の女性が妊娠した場合、母体や胎児だけでなく、成長後の児にも多大の影響が発生する可能性がある。

シンポジウムの目的

わが国の若年女性を取り巻く栄養や生活環境の変化など、先に述べた背景に基づき、妊娠・分娩・産褥期のみならず、生涯にわたって健康な児を出産するために、妊娠中の適切な栄養管理を、基礎的ならびに臨床的視点から検討する。

というものです。

近頃の妊婦の栄養状態は、極悪と言ってもいいと思います。

タン白質不足と鉄不足はほぼ必発で、貧血は当たり前。
(妊娠による貧血ではなく、妊娠する前から貧血なのです!)

ビタミンB群や、カルシウム・マグネシム、亜鉛などのミネラルも不足している人が多いです。

そんな状態で妊娠すると、母体は自分の体をまかなう分の栄養素すら足りていないのに、さらに胎児の体を作るために栄養素を供給しなければならなくなるわけで、それによりさらに母体の健康状態は悪化し、低栄養状態で生まれる子どもは低出生体重児や体の弱い子どもになってしまいます。

それだけでなく、そんな低栄養状態で育った子どもは、将来大人になってから成人病にかかるリスクが高くなってしまうのです。

そして困ったことに、その影響はさらにその子どもの次の世代へも続きます。

現代日本人の平均寿命が長いのは、今長生きしているおじいさんおばあさんの両親、さらにはそのまた両親の世代の食習慣・生活習慣が良かったことが影響しているのです。

今の若い世代から、平均寿命は確実に落ちると考えられます。そしてその子どもはさらに落ちるでしょう。

60歳くらいになるのではないかと言う人もいます。

これは、日本国家存続の危機であると私は思っています。

産婦人科医が声を上げて妊娠中の栄養の重要性について啓蒙することも大切ですが、理想を言えば妊娠してから栄養管理をするのではなくて、妊娠前から気をつけるべき問題です。

ではこの危機を乗り越えるためには、一体、具体的にどうしたらよいのでしょうか?

私はそれに対する答えのひとつは、サプリメントを利用することにあると思っています。
(伝統的な日本食に回帰しろ、というのは完全には無理ですから!)

そのためには、医師をはじめとした医療従事者が正しい栄養の知識を持つことが必要ですし、アメリカ並みに一般消費者のサプリメントに対する認識が変わることが必要でしょう。

この問題は、実際にはすでに個人レベルを超えた国家規模の問題であると思います。

政治家の方々は、目先のことや食品業界の利益を中心にものを考えるのではなくて、国としてもっと危機感を持って対処してもらいたいと思います。

続きは追って書いていきます。

ちょっと固い話になっちゃいました。

株式会社HYGEIA