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NEWS & BLOG | 日産婦シンポジウムの連載(総論)

日産婦シンポジウム 「妊娠と栄養・代謝」総論

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. シンポジウムの目的は、妊娠中の適切な栄養管理を、基礎と臨床の両面から検討することでした。
  2. 背景には、若い女性のやせの増加と、高脂肪食と運動不足による肥満の増加がありました。
  3. 胎生期の栄養障害は、成長後の生活習慣病や精神神経系の発達にも影響すると報告されていました。
  4. 筆者は、妊婦はたんぱく質と鉄の不足が多いとし、対策の一つにサプリメントを挙げています。

この週末に行われました、日本産科婦人科学会のシンポジウム「妊娠と栄養・代謝―妊娠中の適切な栄養管理をめざして―」の内容です。

まず参加者に配られた資料より、シンポジウムの背景と目的を抜粋します。

シンポジウムの背景

1.胎児の発育、機能分化のための基質は全て母体の食事に依存している。

2.これらの基質が適切な時期に、適切な量供給されないときには、IUGR(子宮内胎児発育遅延)や巨大児となるだけでなく、神経管欠損など様々な異常をきたす。

3.近年の疫学的研究により、胎生期に栄養障害に曝された児は成長後に、肥満、耐糖能異常、高血圧、心血管障害など生活習慣病(いわゆるBarker仮説)の他、統合失調症や性格障害など精神神経系の発達にも影響することが報告されている。

4.一方、近年のわが国の若年女性は、過度のダイエットや偏食によるやせが増加しており、また一部では高脂肪食と運動不足による肥満も増加している。

5.これらのやせや肥満の女性が妊娠した場合、母体や胎児だけでなく、成長後の児にも多大の影響が発生する可能性がある。

シンポジウムの目的

わが国の若年女性を取り巻く栄養や生活環境の変化など、先に述べた背景に基づき、妊娠・分娩・産褥期のみならず、生涯にわたって健康な児を出産するために、妊娠中の適切な栄養管理を、基礎的ならびに臨床的視点から検討する。

というものです。

近頃の妊婦の栄養状態は、極悪と言ってもいいと思います。

タン白質不足と鉄不足はほぼ必発で、貧血は当たり前。
(妊娠による貧血ではなく、妊娠する前から貧血なのです!)

ビタミンB群や、カルシウム・マグネシム、亜鉛などのミネラルも不足している人が多いです。

そんな状態で妊娠すると、母体は自分の体をまかなう分の栄養素すら足りていないのに、さらに胎児の体を作るために栄養素を供給しなければならなくなるわけで、それによりさらに母体の健康状態は悪化し、低栄養状態で生まれる子どもは低出生体重児や体の弱い子どもになってしまいます。

それだけでなく、そんな低栄養状態で育った子どもは、将来大人になってから成人病にかかるリスクが高くなってしまうのです。

そして困ったことに、その影響はさらにその子どもの次の世代へも続きます。

現代日本人の平均寿命が長いのは、今長生きしているおじいさんおばあさんの両親、さらにはそのまた両親の世代の食習慣・生活習慣が良かったことが影響しているのです。

今の若い世代から、平均寿命は確実に落ちると考えられます。そしてその子どもはさらに落ちるでしょう。

60歳くらいになるのではないかと言う人もいます。

これは、日本国家存続の危機であると私は思っています。

産婦人科医が声を上げて妊娠中の栄養の重要性について啓蒙することも大切ですが、理想を言えば妊娠してから栄養管理をするのではなくて、妊娠前から気をつけるべき問題です。

ではこの危機を乗り越えるためには、一体、具体的にどうしたらよいのでしょうか?

私はそれに対する答えのひとつは、サプリメントを利用することにあると思っています。
(伝統的な日本食に回帰しろ、というのは完全には無理ですから!)

そのためには、医師をはじめとした医療従事者が正しい栄養の知識を持つことが必要ですし、アメリカ並みに一般消費者のサプリメントに対する認識が変わることが必要でしょう。

この問題は、実際にはすでに個人レベルを超えた国家規模の問題であると思います。

政治家の方々は、目先のことや食品業界の利益を中心にものを考えるのではなくて、国としてもっと危機感を持って対処してもらいたいと思います。

続きは追って書いていきます。

ちょっと固い話になっちゃいました。

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血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

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最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

妊娠中の栄養が子の将来の健康に関わるという考えは、その後の研究でも支持されています。ただし複数の栄養素をまとめたサプリの効果は、主に低・中所得国の試験で確かめられたものです。

  • 妊娠中の複合微量栄養素サプリのコクラン・レビューでは、低出生体重が減りました(リスク比0.88)。ただし20件中19件は低・中所得国の試験で、英国の1件では出生時の結果に差がありませんでした。出典:Keats ほか, Cochrane Database Syst Rev 2019/PubMed 30873598・DOI 10.1002/14651858.CD004905.pub6
  • 飢饉の時期に胎内にいた人を調べたメタ解析では、成人後の統合失調症のリスクが高くなっていました。DNAメチル化の変化が、仕組みの一つとして示されています。出典:Eichenauer ほか, Clin Epigenetics 2023/PubMed 37716973・DOI 10.1186/s13148-023-01557-y

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

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よく聞かれること

妊娠前から栄養に気をつけるのはなぜですか?
赤ちゃんの臓器は、妊娠のごく初期に作られます。妊娠に気づく前の栄養状態が、そのまま赤ちゃんの育つ環境になるためです。
妊婦の貧血は、妊娠してから起こるのですか?
妊娠中は血液が増えるため、貧血が出やすくなります。ただ妊娠前から鉄が少ない方も多く、貯蔵鉄(フェリチン)を測ると分かります。フェリチンが低いと、妊娠・体外受精はどうなるかもご覧ください。
サプリだけで栄養は足りますか?
サプリは食事の代わりではなく、足りない分を補うものです。当院では血液検査で不足を確かめ、産婦人科の健診と並行して栄養療法を行います。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

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