ファストフードの食事の問題点を2回に渡って書いてきました。

読んでいてあまり楽しい話ではないでしょうが、書かなくてはなりません。

この映画に対する批判として、「毎日3食マクドナルドを食べる人はいない」という批判があるでしょう。

しかし、スパーロック氏のやったことは、決して非現実的なこととは言い切れないのです。

今まで述べてきた話はマックのみについての話ではなく、ファストフード全般、いわゆるハンバーガーショップやドーナツショップ、カフェ、コンビニなどを含めた、ジャンクフード全般に言えることです。

「30日間3食マック」というのは、私たち日本人の感覚からしたら(日本人にもいろいろですが)、あり得ないと思う人が多いと思いますが、コンビニのお世話になったことがない人はまずいませんよね。

コンビニが「悪い」と言うつもりはありませんが、忙しさにかまけてコンビニのサンドイッチやおにぎりですませたり、カフェのベーグルとコーヒーですませたり、レンジでチンしたりお湯を注ぐだけでできる夕食、はたまたカップラーメンが大好きな人、ひどい場合はスナック菓子が食事代わり、と言う人はたくさんいます。

アメリカ人に比べたら摂取する総カロリーが少ないためにアメリカほどには顕在化していないだけで、我々日本人もジャンクフードによる健康被害を着々と受けているのです。

そのひとつの証拠が、子どもの肥満や生活習慣病が増えていることです。

また、私のところに来る患者さんで、(血液検査で)何らかの栄養欠乏のない患者さんを見たことがありません。

若い人ほど栄養状態はひどいと言えます。

スパーロック氏がこの映画を作ったきっかけは、ある二人の少女がマクドナルドを提訴したことからです。

肥満になったのはファストフードのせい、とマクドナルドを訴えた少女たちを、人々は笑いました。

ファストフードが悪いのを知っていて食べた本人が悪い、と思うでしょう。

しかし、彼女たちは本当にマックが体に悪いと知っていたのでしょうか?

おそらく、知らなかったのではないでしょうか?

子どもの頃からあまりにも普通に身近にあって安くて美味しい食べ物が、実は体に悪いということを、TVのコマーシャルで教えてくれることもなければ、少女雑誌で啓蒙してくれることもありません。

そして親や学校も教えてくれなかったら、子どもにどのようにして知る術があるのでしょう?

私は、栄養療法を実践するものとして、この「スーパーサイズ・ミー」という映画を非常に評価しています。

過激な人体実験、ユーモラスな描写、しかし確固たるリアリティをもって、ジャンクフードの危険性、ひいては「食の大切さ」を教えている映画であると思うからです。

だから、この映画に対する批判を見たとき、しばし悩みました。

この映画を批判する理由として、ジャンクフードは悪くないと主張する人たちは、本気でそう思っているのか(そうだとすれば頭が痛いです)、それともいわゆるネガティブ・キャンペーンの一環なのか、どっちなの??と思ったからです。

ファストフードが体に悪いと言うことはわざわざ言うまでもないことかと思っていたのですが、もしかしたらそうではなく、本当に知らないのかもしれない、と思ったので、今回書くことにしたのです。

と、つらつらと現代の食事の問題点について書いてきましたが、それでも、我々日本人にはまだ救いがあります。

それは、私たちには長年培ってきた世界に誇れる食の伝統があるからです。

私は「和食至上主義」者ではありませんが(コメを食べていれば健康であるというような単純な話ではありませんから)、和食という、軸となる食の伝統があるからこそ、水際でジャンクフードに「魂を売り渡さないで」すんでいるのだと思います(今のところは!)。

私が行っている栄養療法は食事療法とは違いますので、食事内容を変えることが絶対条件ではないのですが、やはりきちんとした食事をするように努力することは大事なことです。

今しきりに「食育」が叫ばれていますが、子どもの時からよい食習慣を付けることの重要性を日に日に感じます。

そしてそのためには、母となる若い女性の啓蒙をしていかなければならないのです。

さあ、どうしたらいいと思いますか?皆さん。

 

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