「女子は月経に支配され、男子は月給に支配される。」

これはあるブログに出ていた「名言」だ。
女性と男性の生理の違いを絶妙に表していると私は思う。
PMSはまさにこの状態だ。
(もうひとつ付け加えれば「人間は血糖値に支配される」!)
私たちが自覚している以上に、人間の精神は、物質的な条件、つまり”脳の生化学的環境”(神経伝達物質やホルモンや血糖値など)に支配されているのだ。
もちろん身体も同じである。

前回まで、PMSとは何ぞや、ということを書いてきた。
私に言わせると、PMSとは「ホメオスターシスの乱れにより、月経のある女性であれば定期的に起こる女性ホルモンの変動というストレスに、身体が適応できなくなっている状態」である。

そしてホメオスターシスを乱す最大の原因は、栄養欠乏である。

よって、PMSの最も根本的な治療方法は栄養療法である、と言うのが私の意見である。
(もちろん、ホメオスターシスが乱れて起きる病態はPMSだけとは限らない。)

ホメオスターシスの乱れによる病態が相当進んでいる場合、食事療法だけでは残念ながら治療効果は望めない。栄養療法の効果は用量依存性であり、効果を出すためには相当量の栄養素が必要だからだ(時として必要栄養所要量の200~300倍にもなる!)。

栄養療法を行うにあたっては、まず具体的にどんな栄養素が不足しているのかを知ることが必要だ。

そのためには血液検査が必要なのだが、一般的な医師には栄養欠乏の概念がないので、分子栄養学に習熟した医師が診ることが必要である。その血液検査の結果に基づき、個人差に合わせた栄養素の補充を行っていくのだ。

栄養療法の詳しい方法については、個人差にもよるし専門性が必要なためにここでは書かないが、ホメオスターシスの乱れを引き起こさないために、自分でできること、特に「何を食べるべきなのか」について書いていくことにしよう。

食事について

1.まず3食きちんと食べること。

2.タン白質を充分に摂ること。肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などを必ず”メイン”で毎食食べること。なお、鉄を摂るのに一番よい食材は動物性蛋白である。(*タン白質を食べる時には大根おろしを一緒に摂ると消化がよくなる)

3.もちろん野菜や海草、きのこ類なども食べること。

4.炭水化物は少なめに、なるべく精製していない形で摂ること。玄米や全粒粉のパンやパスタ、ライ麦パンなど。(五穀米は消化が悪いのでおすすめしない)

5.砂糖やぶどう糖果糖液糖がが入っている食べ物、飲み物は控えること。

6.加工食品は控えること(添加物が多く栄養素が少ない)。なるべく自然に近いものを食べること。

7.カフェインは控えること。

などである。

なかなか現実的には難しい面もあるかもしれないが、一番簡単なのはとにかくタン白質を摂るように気をつけることだ。野菜の栄養価は年々下がっているし(だからと言って食べなくていいわけではない)、「栄養密度」で言えば肉は非常に栄養価が高く、効率がいいからだ。

また、これはツライという人が多いかもしれないが、「砂糖」をなるべく摂らないようにすることも大切だ。
(*単純な糖質の摂取は一時的に血糖値を上げるものの、その後低血糖を引き起こすし、インスリン抵抗性を引き起こしメタボリック症候群の原因となる。また、体内で最も脂肪に変わるものは糖質なのだ!)

病態がしっかり出来上がってしまった場合には、食事の注意だけでは限界があり栄養療法が必要であるが、日頃の食事をおろそかにするべきではないのは当たり前の話である。

普段食べているものがあなたの体を作っているのだから!

その他には

1.睡眠をきちんととること
2.規則正しい生活をすること
3.適度な運動
4.ストレスの解消法を工夫する

なども当たり前にした方がいいことだ。

また、ホメオスターシスの乱れは東洋医学的な病態も引き起こすため、漢方や鍼灸、整体や経絡マッサージなど、経絡の乱れを整える治療も助けになるだろう。

以上の注意点は、PMSがある方も、ない方の予防にとっても、助けになると思うので、できることからこつこつと実行していただければいいと思う。

株式会社HYGEIA