何がわかっているか

体外受精などの生殖補助医療を受けた女性を対象にした11の研究(2,700人)をまとめたメタ解析では、血液中のビタミンDが足りている(充足)女性は、不足・欠乏の女性に比べて、生児出産の確率が 1.33倍(95%信頼区間 1.08〜1.65)、臨床妊娠が 1.46倍でした。流産率には差がありませんでした(Chu ほか, Hum Reprod 2018)。

2024年に発表された23研究の解析では、ビタミンDの値と結果の関係は直線ではなく、およそ 24 ng/mL を下回ると妊娠率・生児出産率が下がる、という境目が示されています(Xu ほか, Reprod Sci 2024)。

どう読むか(限界)

どちらも観察研究のまとめです。「ビタミンDを飲めば体外受精が成功する」ことを示した試験ではありません。ビタミンDが足りている人は、食事や日光に当たる生活など、他の条件もよい可能性があります。それでも、足りない状態をそのままにして採卵・移植に進む理由はない、というのが当院の考えです。

当院の手順

  • 血液検査(60項目以上)でビタミンD(25-OH ビタミンD)を測ります。
  • 不足していれば、検査値にもとづいて医師が量を決めて補います。ビタミンDは脂溶性で過剰症があるため、自己判断の大量摂取は勧めません。
  • 3か月後に再検査し、値の変化を確かめます。

当院の実例(医師の記録・個人差があります)

不妊で受診した37〜39歳の女性4例は、初診時の貯蔵鉄(フェリチン)が 4.4・4.6・4.6・10.5 ng/mL と一桁〜10台でした。ヘム鉄を中心とした栄養療法で、3か月後には 33.6・30.3・32.1・47.0 に上がり、2か月〜1年で自然妊娠しています(人工授精3回・体外受精2回のあと、体外受精6回目で第一子のあとの第二子、など)。くわしくは 不妊治療改善例(4例・検査値つき)。