例1PMS(月経前症候群) 改善例1(初診時31歳・女性)月経前の過食(コンビニで3,000円分を買い込む)・冷え・低体温・月経痛・むくみ・子宮腺筋症本文と検査値を読む

PMS(月経前症候群) 改善例1

主訴

PMS(月経前症候群)。子宮腺筋症。 女性 初診時  31歳

冷え性。低体温。月経前の過食。月経痛。むくみ。
月経前になると過食になり、コンビニで3000円くらい買い込んで全部食べてしまう。

既往歴

なし

治療歴

婦人科で漢方治療(桂枝茯苓丸加ヨクイニン湯)の治療を半年間行い、月経痛が改善した。

治療方針

血液検査データおよび症状より、タン白質・鉄・ビタミンB群などの栄養不足と、機能性低血糖症があると考えられた。治療用サプリメントによる栄養療法(プロテイン・ビタミンC・B群・ヘム鉄・亜鉛・カルシウム・マグネシウム)と、低血糖症治療のための食事療法を開始した。

分子整合栄養医学による改善データ

 基準値初期前3ヶ月後6ヶ月後14ヵ月後
ヘモグロビン11.5-15.0! 10.213.512.713.7
ヘマトクリット34.8-45.0! 33.343.438.442.5
MCV85-102! 80929396
MCHC30.2-35.130.631.133.132.2
総蛋白6.7-8.36.87.97.27.4
GOT10-4020141418
GPT5-4519221516
γ-GTP30以下28191615
尿素窒素80-20.081912.611.5
血清鉄40-1801229096120
血糖70-10982868481
グリコアルブミン12.3-16.514.913.814.014.3
インスリン1.7-10.42.52.02.02.0
フェリチン4.0-64.28.743.643.643.6
初期前14ヵ月後基準値の幅ヘモグロビン10.213.7MCHC30.632.2血清鉄122120グリコアルブミン14.914.3フェリチン8.743.6
表の数字を棒にしたもの(初期前→14ヵ月後)。薄緑は基準値の幅。
 治療前3ヶ月後
身長163cm163cm
体重59.8kg56.8kg
筋肉量42.3kg41.2kg
体脂肪量15.0kg13.2kg
体脂肪率25.1%23.1%

ドクターコメント

ドクターコメント
この患者さまの初診時の血液検査データは、不定愁訴がオンパレードでもまったく驚かないようなデータでした。
ヘモグロビン・ヘマトクリットは参考基準値を下回っており、明らかな貧血でした。女性の場合、元気で疲れ知らずで、PMSなどの症状がない状態にするためには、ヘモグロビンは少なくとも13以上は必要です。

また、一般の病院ではあまり行われませんが、フェリチン(貯蔵鉄)の数値は女性にとってとても大切です。フェリチンの女性の理想値は100ng/mlですが、この患者さまは8.7しかありません(注:「参考基準値」は、「理想値」ではありません)。
この患者さまは、ヘモグロビン・ヘマクリットともに、フェリチン値も基準値を大きく下回っていましたが、この3つのどれかが基準値を下回っていると、 PMS(月経前症候群)、更年期障害、不妊症、女性特有の不定愁訴(冷え性、頭痛、めまい、むくみ、イライラなどの精神症状など)などが起こりやすくなり ます。
また、女性の美しさも、「鉄欠乏=貧血」に強い影響を受けます。
一般的に「コラーゲンは美肌効果がある」と言われていますが、実はコラーゲンを摂取しても、コラーゲンがそのまま吸収されるわけではありません。残念なこ とに、コラーゲンは腸でいったん分解され、「アミノ酸」の形で吸収されます。コラーゲンを作るためには、分解されたアミノ酸から体内で再合成しなければな りませんが、その時に鉄が必要になります。
皮膚の合成そのものにも鉄が必要ですから、貧血が原因のひとつであるPMS(月経前症候群)、更年期障害や女性特有の不定愁訴でお悩みの患者さまの多くは、「しわができやすくなった」「肌がくすむ」と訴えます。
また、この患者さまのように非常に強い鉄欠乏性状態(フェリチン値が1ケタ)では、代謝が著しく低下していますから、鉄欠乏の治療を行うだけでも、代謝がアップし自然にそして健康にダイエットが可能となるのです。
女性にとっては、この「貧血=潜在性鉄欠乏性貧血」が、理想の健康だけでなく美容(美肌やダイエット)にも深く関係していることを知ってください。
またアメリカでは、元気な赤ちゃんを産むための理想のフェリチン値は100と言われます。
たとえば卵管障害・子宮奇形などの器質的な問題・子宮内膜症などがないのに妊娠できない場合、または体外受精などの不妊治療を行っても妊娠できない場合、 当クリニックで検査をさせていただくと、ヘモグロビンやヘマクリットは基準値内でも、フェリチン値が一ケタである患者さまがほとんどです。
潜在性鉄欠乏性貧血が、不妊症の原因の大きな一つであることを知ってください。
たとえ高齢出産でも、フェリチン値などの数値がよく、栄養状態がよければ、20代のお母さんにひけをとらない元気な赤ちゃんを産むことが可能です。

そして、この患者さまのフェリチン値が一ケタになってしまったのは、子宮腺筋症(器質的疾患)による月経過多が原因と思われます。月経過多(エンジントラ ブル)がフェリチン値(貯蔵鉄)を非常に低下させ、その結果PMSなどの機能性疾患(ガソリン不足)を引き起こしてしまったと考えられます。
貯蔵鉄が非常に低値の場合、漢方薬のみではガソリンが満タンにならない、つまりフェリチン値がすぐには改善しないため、なかなかスッキリと自覚症状が改善できません。
そのため、漢方治療と並行して、フェリチン値の改善を主とする分子整合栄養医学での治療を施しました。

経過

治療開始1ヶ月後、PMSの症状はほとんどなくなった。まだ過食はあるが、治療前のように3000円分のお菓子を食べるようなことはなくなった。冷えがよくなり、疲れにくくなったのを実感した。
治療開始2ヶ月後、月経前の過食が止まった。甘いものを止められた。
治療3ヶ月後、不定愁訴はほとんどなくなった。むくみがまだ気になる程度。ダイエットをしたわけではないが、月経前の過食が止まったのが原因か、体重が3キログラムも減った。毎日、体調がとても良い。
今後は、子宮腺筋症の月経過多を漢方薬も合わせて治療したいと考えている。

例2PMS(月経前症候群) 改善例2(初診時35歳・女性)毎月3週間、起き上がれず1日中横になっている・うつ症状・月経前の過食(甘いものを手当たり次第)本文と検査値を読む

PMS(月経前症候群) 改善例2

主訴

PMS(月経前症候群) 女性 初診時 35歳

20代後半からPMSの症状が強くなり、毎月3週間は、朝起きると体が重く疲れている。強いだるさと疲労感で起き上がれない。1日中横になっている状態。
うつなどの精神症状も悪化。月経前の過食もエスカレートして、甘いものを手当たり次第食べてしまう。
このまま毎月のほとんどを寝たきりで過ごしていたら、仕事も結婚もあきらめるしかないと不安になり、当クリニックを受診した。

既往歴

突発性難聴、アルコール依存症

治療歴

28歳のときに、婦人科を受診し、ピルを処方してもらったが、症状が悪化しため中止。
その後、心療内科を受診し、抗うつ剤や精神安定剤などの投薬治療を試したが、やはり症状が悪化して、自己判断で中止した。

治療方針

血液検査データおよび症状より、タン白質・鉄・ビタミンB群・亜鉛などの栄養不足と、機能性低血糖症があると考えられた。治療用サプリメントによる栄養療 法(プロテイン・アミノ酸・ビタミンC・B群・Eヘム鉄・亜鉛・カルシウム・マグネシウム)と、低血糖症治療のための食事療法を開始した。

分子整合栄養医学による改善データ

 基準値初期前4ヵ月後9ヵ月後
ヘモグロビン 11.5-15.0 14.3 14.7 13.9
ヘマトクリット 34.8-45.0 44.5 44.6 42.2
総蛋白 6.7-8.3 7.4 7.2 7.9
GOT 10-40 20 24 21
GTP 5-45 13 25 14
γ-GTP 30以下 12 15 17
尿素窒素 8-23 ! 7 12.0 13.4
血糖 70-109 86 90 81
グリコアルブミン 12.3-16.5 12.7 12.6 13.6
インスリン 1.7-10.4 4.2 3.3 1.8
亜鉛 64-111 82 91 106
フェリチン 4.0-64.2 26.2 40.9 110.0
初期前9ヵ月後基準値の幅ヘモグロビン14.313.9グリコアルブミン12.713.6亜鉛82106フェリチン26.2110
表の数字を棒にしたもの(初期前→9ヵ月後)。薄緑は基準値の幅。

ドクターコメント

ドクターコメント
この患者さまのヘモグロビンやヘマトクリットは、初診時では基準値内でした。ヘモグロビン値は14以上ありましたから、通常の病院では全く貧血を疑いません。
しかし、貯蔵鉄を示すフェリチン値は、女性の理想値(基準値はあくまでも参考程度であり、理想値ではありません)は100ng/mlですが、この患者さまは26.2と低値でした。フェリチン値が40以下ですから、潜在性鉄欠乏性貧血です。
残念ながら、多くの日本の医療現場では、フェリチン値まで調べることがありませんから、見逃されてしまいます。
ヘモグロビン、ヘマクリットが基準値内でも、フェリチンが低値では強い貧血の症状がおきます。
PMS(月経前症候群)、更年期障害、不妊症、女性特有の不定愁訴(冷え性、頭痛、めまい、むくみ、イライラなどの精神症状など)、脱毛、老化(しわやたるみなど)の原因の一つとなります。
また、この患者さまでは血糖値の平均であるグリコアルブミン値が12.7と、基準値内ではあるものの、たいへん低値でした。グリコアルブミン値が14.5以下では、低血糖症を疑います。
とくに女性では、月経前のエストロゲンとプロゲステロンとういう女性ホルモンの分泌が起こる時に、インスリンの過剰分泌が起こりやすくなり、過食症状が悪化します。
この方には糖質を制限した低インスリンの食事方法を実践していただきました。

経過(医師の記録)

治療開始4か月後、PMSの症状は初診時を10とすると5。月経前の過食は止まっていた。気になる症状は残っていた。
治療1年後、体調は治療前より大きく改善。
治療1年6か月後、就労を継続できている。
その後も、妊娠に備えて治療を継続中。

例3PMS(月経前症候群) 改善例3(初診時38歳・女性)疲れやすく、常にだるい・冷え・月経痛(下腹部痛)・イライラ・むくみ・肩こり・じんましん本文と検査値を読む

PMS(月経前症候群) 改善例3

主訴

PMS(月経前症候群) 女性 初診時 38歳

疲れやすく、常にだるい(易疲労)。
冷え性。月経痛(とくに下腹部痛が強い。)
イライラ。むくみ。肩こり。じんましん。
10年前から、上記の症状が出てくるようになり、とても体調が悪い。
第一子を出産後、ますます体調が悪くなり、当クリニックを受診した。

既往歴

なし

治療歴

婦人科を受診し、鎮痛剤とピルを処方された。鎮痛剤は、まったく効かなかった。
ピルは、2か月間服用したが、特に変化がなかったので自己判断で、中止した。

治療方針

血液検査データおよび症状より、タン白質・鉄・ビタミンB群・亜鉛などの栄養不足と、機能性低血糖症があると考えられた。治療用サプリメントによる栄養療 法(プロテイン・ビタミンC・B群・E・ヘム鉄・亜鉛・カルシウム・マグネシウム)と、低血糖症治療のための食事療法を開始した。

分子整合栄養医学による改善データ

 基準値初診時7ヵ月後
ヘモグロビン 11.5-15.0 13.1 13
MCV 85-102 94 98
MCHC 30.2-35.1 31.4 30.9
総蛋白 6.7-8.3 7.4 7.3
A/G 1.1-2.0 1.3 1.4
GOT 10-40 16 17
GPT 5-45 12 14
γ-GTP 30以下 11 11
尿素窒素 8-23 13 14
血糖 70-109 104 89
グリコアルブミン 12.3-16.5 14.8 14.4
血清鉄 40-180 44 ! 38
フェリチン 4.0-64.2 7.5 33.5
Hピロリ抗体 (-) (+)  
初診時7ヵ月後基準値の幅ヘモグロビン13.113MCHC31.430.9グリコアルブミン14.814.4血清鉄4438フェリチン7.533.5
表の数字を棒にしたもの(初診時→7ヵ月後)。薄緑は基準値の幅。

ドクターコメント

ドクターコメント
この患者さまの初診時のヘモグロビン値は13.1でしたから、通常の病院では全く貧血を疑いません。
フェリチン(貯蔵鉄)値の女性の理想値は100ng/mlですが、この患者さまは7.5と非常に低値でした。
フェリチン値が40以下ですから、潜在性鉄欠乏性貧血です。
残念ながら、多くの日本の医療現場では、フェリチン値まで調べることがありませんから、見逃されてしまいます。
ヘモグロビンが基準値内でも、フェリチン値が低値では強い貧血の症状がおきます。
PMS(月経前症候群)。疲れやすく常にだるい(易疲労)、むくみ、肩こり、冷え性などの不定愁訴。
生理痛、イライラなどの精神症状は、まずは潜在性鉄欠乏性貧血を疑ってみてください。
貧血というと、一般的には「めまい、立ちくらみ」などと考えますが、貧血の症状は多様です。
PMS(月経前症候群)だけでなく、更年期障害、不妊症、女性特有の不定愁訴(冷え性、頭痛、めまい、むくみ、イライラなどの精神症状など)、抜け毛がひ どいなどの脱毛、老化(しわやたるみなど)、中学生や高校生の子供が学校から帰ると家でゴロゴロしたり、急に成績が下がったなどのなども、鉄欠乏性貧血の 症状です。
また、初診時のMCHCは、32以下と低値です。特に、女性の場合は、不定愁訴の原因となります。
このように鉄が不足する原因として、食事の偏りや月経過多だけでなく、胃のピロリ菌感染も関わっている場合があります。この場合はピロリ菌の除菌治療が必要になります。
A/G比は1.7以下でアルブミンが低い状態です。このような場合、血液濃縮、いわゆるドロドロ血になっていることがほとんどです。タンパク質・とくにア ルブミンが、血液中に水分を保持できる「スポンジのような」働きを持っているため、アルブミンが減少すると水分量が減り、ドロドロ血液になります。
こうなると血管内に水分を十分に保持できないため、血管外に水分が滲出し、いわゆる「むくみ」の大きな原因になります。

経過(医師の記録)

治療開始2週間後、イライラなどの精神症状が安定し、疲労感が軽減。月経前症候群の症状は初診時を10とすると5。下腹部痛と悪寒は変化なし。月経に伴うじんましん・水疱は、この回の月経では悪化。
治療3か月後、初診時の月経前症候群の症状と、その他の不定愁訴は改善。