そして、肉食をすすめる理由のひとつは、人類の食の歴史から見ても肉食は生理的だと考えられること、そしてむしろ、現代の炭水化物中心の食生活のほうがかなり不自然だと考えられるからだ。

人間の食の中心はこの200万年ほどの間、肉であった。
(主食はマンモスの肉だったんだから!)

人間は長い歴史のほとんどで「狩猟と採集」で食をまかなってきたのであり、現代社会のように炭水化物を摂ることは非常に少なかった。

現代のように精製された炭水化物を当たり前のように食べている時代は、人類の歴史上初めてのことなのだ。

現代人が抱える問題、例えば、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病などの原因となる肥満やメタボリックシンドロームは、「インスリン抵抗性」がベースに存在していることが明らかになっている。

(インスリン=血糖値を下げる唯一のホルモン)
これらの病態は太ることから始まるが、なぜ太るのかと言うと、もちろんカロリー過剰や運動不足も原因のひとつだが、精製された炭水化物が多すぎることがそもそもの原因と考えられる。
インスリンをもっとも分泌させるのは炭水化物(糖質)だ。
インスリンが過剰に分泌されることで肥満が起こり、インスリン抵抗性を引き起こし、それがさらにインスリンを過剰に分泌させて、血糖調節異常や高脂血症、高血圧等が起こる。
メタボリックシンドロームだ。

それがゆくゆくは動脈硬化、心筋梗塞等の生活習慣病の原因となっていく。

ということは、主に悪さをしているのは実は炭水化物だと言えるわけで、実際には肉食がそういった生活習慣病の原因であるという根拠は非常に乏しいのだ。

肉食に問題があるとすれば、ω3脂肪酸とω6脂肪酸の比の問題があるけど、それはほかで是正できる要因だ。

また、肉好きの人は肉ばっかり食べて野菜を食べない人もいるが、もちろんそれはよいことではない。野菜はちゃんと食べるべきだ。

そのような食べ方の問題がクリアできれば、肉は健康によくないどころか、むしろ不足するタン白質や微量栄養素を摂るために積極的に利用するべき食材である、といえるのだ。

と、肉食について今まで説明してきたのはあくまでも栄養学的見地からの見方で、BSEなどいろいろな問題もある。

それらについては個別に対処する必要があるが、私は肉食を見直すことで、得られるメリットは非常に大きいと考えている。

世の中の常識も徐々に変遷しつつある。健康や栄養についても同様だ。
この現代だからこそ、肉食を見直してみたらいかがだろうか?

株式会社HYGEIA