03-6452-6611 受付 水曜〜土曜 10:00〜17:00 完全予約制 休診日 日・月・火・祝

NEWS & BLOG | PMSとは何か(2)

PMSとは何か②

(2026年10月 最新の研究を追記) HYGEIA通信

この記事でわかること

  1. 筆者は、英国でPMSが社会的に知られている理由を、英国の栄養状態の悪さにあると推測しています。
  2. 根拠に、葉酸添加前の英国の二分脊椎の発生率が、出生1万人に15人と高かったことを挙げています。
  3. 日本の二分脊椎はかつて1万人に2人程度で、1998年には3〜4人に増えたと書かれています。
  4. 筆者は、PMSは低栄養によって女性自身の体に起きた変調が、表に現れたものの一つだと考えています。

(前回のエントリの続きです。)

PMSが英国でこれほど社会的に認知されているのは、間違いなく英国ではPMS患者が多いからだろう。

そしてPMSが一端を担うと考えられる女性による問題(犯罪や家庭内暴力など)が、放置できないほど深刻だ、と言うことだ。

何故、英国ではこんなにもPMSが深刻なのだろうか?

私は、このような英国でのPMSの扱われ方を知ったとき、英国人の方には大変申し訳ないが、英国の栄養状態は相当悪いに違いない、と思わざるを得なかった。

以前に、母体の葉酸欠乏により起こる先天奇形である神経管閉鎖障害(NTDs)の問題を書いた。

妊婦に葉酸欠乏があると、発生の過程で胎児の神経管がきちんと閉じないで、二分脊椎症などのNTDsを持って生まれてくる率が高くなる。

NTDsの発生率はその母集団の葉酸の摂取状況を反映しており、つまりはその国の栄養状態を表すひとつの指標であると考えてよいだろう。

そしてNTDsを防ぐために世界的に葉酸を食品に添加するようになる以前に、もっともNTDsの発生率が高かったのは英国だった。

かつての日本での二分脊椎症の発生率は出生1万人に対し2人程度だったが、英国は15人だった。

その後、英国では食品への葉酸添加を行うという政策が取られ、その結果、1人程度に減少している。

その逆に日本では、NTDsはじわじわと増えており、1998年の時点で二分脊椎症は3-4人、NTDsは6人と、なんと先進国では最も発生率が高くなってしまった。

日本でNTDsが増えているのは、日本人の食生活が大きく変化し、栄養状態が着々と悪化している証拠のひとつだと言えるのだ。

私は英国に住んだことはないので、英国の食事情を実感としては知らないし、もしそうでないとおっしゃる方がいたら逆にご教示いただきたいのだが、かつての英国における二分脊椎症の発生率を見ただけで、私は英国人の食生活がどんなものなのか(だったのか)、瞬時に理解できた気がした。

ビタミンやミネラルを豊富に含んだ新鮮な野菜や、体を作る基本的な材料であるタン白質や、ホルモン環境を良い状態に保つためにはたらく良質な脂質などの栄養素が不足した、栄養学的に見て貧しい食事であろうということは、容易に想像できる。

そして、胎児の発育に支障を来たすほど、低栄養であること(カロリー=栄養ではない!)が当然、母体である女性自身の体にも変調を来たすであろうということは、至極納得のいく話なのだ。

PMSは、その現れに過ぎない、と私は思うのである。

続く。

毎月のつらさ、検査で確かめてみませんか

血液・尿検査(60項目以上)で栄養状態を確かめ、不足を補う外来です。初日のカウンセリングは無料です。

PMS(月経前症候群)について、くわしく見る

最新の研究でわかっていること(2026年10月 追記)

2006年の記事に追記

PMSの主な原因は、月経周期のホルモン変動に対する脳の感受性とされています。栄養との関係は研究の途中で、最も確かな根拠があるのはSSRIや低用量ピルです。また英国では、葉酸の食品添加は長く行われていませんでした。

  • 英国の先天異常登録では、1991〜2012年のNTDは出生千対1.28で、その81%は妊娠中絶でした。米国のように1998年から葉酸添加をしていれば、2014件のNTDが防げたと推定されています。出典:Morris ほか, Arch Dis Child 2016/PubMed 26681697・DOI 10.1136/archdischild-2015-309226
  • ランダム化試験(計436人)をまとめたメタ解析では、ビタミンDでPMSの重さが軽くなりました。ただし結果のばらつきが大きく、根拠の確かさは「非常に低い」とされています。出典:Zainab ほか, J Clin Med 2026/PubMed 42355996・DOI 10.3390/jcm15124828
  • PMDDとPMSの治療研究を見渡したレビューでは、最も質の高い根拠があるのはSSRIと低用量ピルでした。栄養補助食品などにも一部根拠はあるものの、研究の質にばらつきがありました。出典:Carlini ほか, Focus 2024/PubMed 38694162・DOI 10.1176/appi.focus.23021035

PubMed の抄録で、数字と結論を確かめた論文だけを載せています(PMID・DOI つき)。上の本文は 2006 年に書かれたままです。

当院でできること

検査と治療
60項目以上の血液・尿検査で、貯蔵鉄・たんぱく質・ビタミン・亜鉛・血糖の動きを確かめ、不足している栄養素(治療用サプリメント)と食事の見直しで体の側を整えます。約3か月ごとに再検査します。
費用(自由診療・税込)
初日の検査 16,500円/再検査 11,000〜16,500円/診察料 5,500円。治療中の月あたりの費用は処方で変わります(最初の3か月は月5〜10万円が目安)。くわしくは 治療費用。
治療を検討する前に知っておいていただきたいこと
自由診療で、保険診療の代わりになる治療ではありません。分子栄養療法は、すべての方に同じ結果が出る治療ではなく、記事の中の例は個別の経過で、同じ結果を約束するものではありません。治療用サプリメントで起こりうること:まれに、IgG 食物アレルギー反応(食べ物に対する遅れて出る反応)が出ることがあります。

執筆・監修:矢崎 智子 医師(2006年の本文)|杏林大学医学部卒業の産婦人科医。2005年にハイジーア外来を開設し、院長として分子整合栄養医学と東洋医学による診療を行った
2026年10月の追記(最新の研究)の監修:秦 俊昭 医師(日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・ハイジーア外来 担当)

あわせて読みたい

よく聞かれること

PMSは栄養不足が原因ですか?
PMSの主な原因は、月経周期にともなうホルモン変動への脳の感受性とされています。栄養状態が症状に関わるという研究もありますが、まだ確かめている途中です。
栄養療法でPMSは軽くなりますか?
ビタミンDなど一部の栄養素で症状が軽くなった試験はありますが、根拠の確かさはまだ低い段階です。当院のPMS(月経前症候群)・PMDD の栄養療法は、婦人科などの治療と並行して行うものです。
PMSかどうかは、どう確かめますか?
症状と月経の日を毎日記録し、月経前にだけ症状が出るかを確かめます。PMS/PMDD チェックリストも使えます。
費用はどのくらいかかりますか
自由診療です。初日の検査 16,500円(税込)。治療中の費用は処方の内容で変わります。治療費用 をご覧ください。

初診のご予約

初診は予約制です。下のフォームで希望の日時をお知らせください。受付時間内にお電話で日時を確定します。
お電話でもご予約いただけます。

初診の予約を申し込む▼24時間受付/受付時間内にお電話で日時を確定します(送信だけでは予約は確定しません)

日時を確定するため、お電話でご連絡します

受診は任意

第1希望(例:10月24日の午後)。第2希望もあればお書きください