かのように見えましたが、そうではなかったようで安心しました。

周産期医学2007年5月号「周産期から見た食育」

去年の日本産科婦人科学会総会で、「妊娠と栄養」というシンポジウムが開かれたことは以前のエントリで書きましたが、飽きっぽい(?)日本人である私達のこと、またなかなか臨床で指導しにくい分野だけに、一時のムーブメントで終ってしまわないかと心配でした。

母体の栄養状態が生まれる赤ちゃんの将来の健康を左右するという「Barker仮説」から始まった、DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)という概念は、現実のものとして私達現代人の未来を揺さぶっていると思います。

・母体の低栄養(やせ)は低出生体重児を増加させる
・低出生体重は将来の児の、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病を引き起こすリスクファクターである
・胎児乳児期に形成された素因は第3世代(孫の代)まで影響を及ぼす
・母体低蛋白栄養は児の高血圧の発症機序である

簡単にまとめるとこんな感じです。

母体低栄養は児の脳の発育にも悪影響を及ぼすので、学習能力や情緒や行動などにも影響が起きるでしょう。

運動能力ややる気などにも影響してくるでしょう。

果たしてこのような問題を、由々しき事態だとして捉えている医療関係者はどのくらいいるのでしょうか?

また、政治家の方々は国の将来を左右する問題だと認識しておられるのでしょうか?

若い女性に食育を行おう…。しかし、一体誰がその舵を取るのでしょうか?

国の方針で医療費が削減されようとしている中、産科医は日々の激務の中でとてもではないけれど妊婦に食事の指導などしてられません。

助産師の存在はこういう時に力になると思いますが、それでもマンパワーがそこまで回せるという環境は限られているでしょう。

私は、微力ながら自分の関わる妊娠可能年齢の女性や、妊婦さんには栄養の大切さを啓蒙しているつもりですが、微々たるものだと痛感しています。

国として日本の将来がよりよくなるように、政治家の方々には真剣に政治に取り組んでいただきたい…、しかしそれを待っているのでは遅すぎるので、私たちが賢くなるしかありません。

株式会社HYGEIA